16日は全国からハイレベルの3歳馬が集結する「黒潮盃」が大井競馬場で開催。春のクラシックロードを戦った実績馬に加え、夏を迎えて急成長した上昇馬など、全国から集結した実力馬が激しいレースを繰り広げる。
まず筆者が毎年注視しているのが最も評判の高い馬だ。「1番人気」は過去10年で【4-4-1-1】と好成績で、連対率は80%、複勝率は90%と軸馬として絶対的な信頼度を誇っている。問答無用で1番人気を中心視するのが同レースを攻略する上で欠かせないセオリーと言って良い。
今年1番人気の最有力候補に目されるのがヒーローコールだ。羽田盃と東京ダービーでいずれも2着とこの世代ではミックファイアに次ぐ実力馬。最大のライバルが不在となるここは最上位の存在と見て良い。
ただ、前走のサンタアニタトロフィーでは1番人気の期待を大きく裏切る10着に大敗。レースはスタート直後に前が塞がり鞍上が立ち上がる不利があり、リカバリーに脚を使うはめに。序盤で脚を使ったせいもあってか最後は全く伸びなかった。57kgと重い斤量も堪えたのと、スタートの不利が大きな敗因だったと考えられるが、この惨敗が次走にどう影響するか。
マイルもやや忙しすぎた印象があり、1F距離が延びるここはパフォーマンスも上がってきそうだが、またしても斤量は58kgと重め。前走は調教替わりのような一戦ではあったが、この斤量を背負ってさらに暑い夏場に中1週という酷なローテーションで、果たして本当にパフォーマンスが上がってくるのかどうかはいささか不安だ。
相手には米G1サンタアニタダービー・2着のマンダリンヒーローや、無敗の金沢二冠馬ショウガタップリと好メンバーも揃っている。マンダリンヒーローも海外帰り初戦かつ乗り替わりと条件的には決して買いやすい馬というわけではないが、斤量はヒーローコールよりも2kg軽い56kgと軽量だ。ショウガタップリも55kgと斤量面では一番アドバンテージがあり、この条件なら南関の精鋭相手でも通用しそうな気配がある。
次に、同レースを予想する上でもう一点欠かせない要素が、速い上がりが使える馬だ。過去10年の馬券内30頭中25頭が上り3位以内の脚を使っている。この点を重視するなら、大井を5戦して全て上がり最速をマークしているマンダリンヒーローの方が評価は上となる。ヒーローコールは基本的に速い上がりは使えないタイプで、ある程度良いポジションから長く脚を使って抜け出す競馬を得意としている。
大井の1800mは1コーナーまで約200mあり、4つのコーナーをまわって長い386mの直線をむかえるというコース形態だ。直線が長いぶん逃げ粘りのは難しく、また前半のペースが落ちやすいので追い込みも決まりづらい。スローの瞬発力勝負になりやすい舞台で、直線で速い上がりを使って一気に差し切る競馬がハマりやすいコースである。
序盤のゆったりした流れから終盤に末脚を効かせ、前を捉えていくスタイルのマンダリンヒーローはまさに同舞台がベスト舞台と言って良いだろう。
以上の条件を考えると、ヒーローコールが世代最上位の実力とは言え、問答無用で狙えるかと聞かれると首を傾げたくもなる。むしろ舞台にマッチしたマンダリンヒーローの方を中心視すべきか。波乱は少ない一戦なだけに馬券の点数は絞りたいところで、狙い撃ちするならこの2頭の評価をまずは決めておく必要がありそうだ。いずれにせよ、例年以上に好メンバーが揃った今年の黒潮盃は、見どころ満載な一戦となりそうだ。