今週は国内外の大舞台を目指す精鋭が集まるG2「札幌記念」が開催。後に大舞台で活躍する馬たちを多く輩出する一戦だ。
今回注目しているのは第88回のダービー馬、シャフリヤールだ。
今年は3月のドバイシーマクラシック・5着一戦のみ。海外遠征明け、約5ヶ月ぶりの実戦ということでいよいよ秋のビッグレースを見据えて始動する。国内外のG1戦線で好走し続ける実績馬で、ここは実績上位の存在となる。
しかし、不安材料は海外遠征明けという点以外にもある。まずは初の“洋芝”という点だ。好位抜け出し、中団あたりからの差しと、どこからでも競馬はできる優等生ではあるが、馬場においては良馬場でこそのタイプ。
21年の神戸新聞杯では不良馬場の中、外目から追い込んで4着。最後の直線ではバテ気味だった人気薄の先行馬も捉えきれず、差がつまらないまま4着に入着した。ここでもレース後に手綱を握った福永騎手が「良馬場でこそ」とコメントしており、タフな馬場を敗因の一つとして挙げた。脚質のタイプを考えるとタフな洋芝をこなすことができるかどうかはいささか不安だ。
次は、2000mという距離だ。ドバイシーマクラシックやジャパンC、日本ダービーでの実績を見ればベストは2400mで間違いない。2000mは【0-0-0-1】、1990mは【0-0-0-1】、2200mも【0-0-0-1】と2000m前後の成績は散々な結果に終わっている。
昨年は1990mのプリンズオブウェールズSで4着、2000mの天皇賞・秋で5着に敗れ、パフォーマンス的にもイマイチという印象を受けていたが、11月のジャパンCでは直線外目から追い上げ、先頭を捉える勢いを見せて僅差の2着に好走した。2400m戦へ戻したとたんにパフォーマンスが上がったことからも、やはりベストはクラシックディスタンス。今回の札幌の小回り2000mという条件は、同馬には少々忙しすぎるように思える。
そして最後は休み明けという点だ。最終追いではラスト1F11秒8としまい重点に追われて好時計は出してきたが、「もう1段動けるイメージはある」と鞍上の横山武史騎手はコメント。ギアがもう1段隠されているということは、1番良い時よりもギアが1段下という意味と捉えて良いだろう。なかなかの好メンバーが揃っているだけに、及第点の仕上がり程度で勝ち切れるかどうか。
約2年ぶりのG2ということで“格下げ戦”となるここは格好をつけたいところだが、海外遠征明け、5ヶ月の休み明け、洋芝適性、距離適性と不安材料が少なくないここは、慎重に取捨を判断したい。