香港のスプリント王者決定戦「香港スプリント」がいよいよ10日に開催される。2012年と2013年は日本馬のロードカナロアが連覇を達成しており、2020年はダノンスマッシュが優勝と日本馬にとって相性の良いレースだ。
昨年はメイケイエール(5着)、ナランフレグ(10着)、ジャンダルム(12着)、レシステンシア(13着)と4頭もの精鋭たちが挑んだが、いずれも馬券圏外に敗退。今年はマッドクールとジャスパークローネの2頭のみだが、今年のスプリンターズSの2・4着馬ということで期待度は高い。
とくに有力視したいのはスプリンターズS・2着馬のマッドクールだ。
昨年芝スプリント戦を4連勝し、破竹の勢いのまま今年初戦のシルクロードSに挑戦。結果は3着だったものの、後の高松宮記念で1・2着となるファストフォースとナムラクレアを相手に逃げて0秒1差の3着は負けて強しの内容だ。
続く春雷Sではトップハンデの57.5kgを背負い、道中の落鉄も克服し見事に快勝。ひと息入れて臨んだCBC賞は1番人気の期待を裏切る9着に敗れたが、58.5kgのトップハンデを背負い、軽量先行勢にやられたかたち。前走のスプリンターズSでは勝負所で押し上げていき、叩き合いに持ち込んでハナ差で2着に惜敗と、実力を裏づけた。
好メンバーが集まった香港スプリントにおいても引けを取らない能力の持ち主だが、今回は相手も中々の強豪。前哨戦のジョッキークラブスプリントを快勝したラッキースワイネス、連覇を狙うウェリントン、仏G1のアベイドロンシャン賞を快勝した欧州短距離女王ハイフィールドプリンセスなど、世界のトップスプリンターが集結した。さすがのマッドクールも実績面では見劣るだけに、どこまで迫れるか。
一気の相手強化に海外初挑戦と壁は高いが、血統面から見てもこの馬は国内で収まる器ではないことがわかる。父系のダークエンジェルはノーザンダンサー系でナイトシフトを内包しており、母系はダンジグ✕サドラーズウェルズで、スピード適性の高さに加えてパワーとタフさが豊富な血統背景となっている。
おしゃれな横文字揃いの欧州系スプリンターということで国内では馴染みのない血統だが、能力以上に世界に通用する血統背景を持っている1頭ということで、激走に期待したい。