障害界の絶対王者オジュウチョウサンは28日、今週7日に福島9Rで行われる開成山特別(500万下)の1週前追い切りを終え(5F67秒3-38秒5-12秒4)、着々と調整を進めております。フルゲートを超えた場合、オジュウチョウサンは真っ先に除外対象となるため出走するかどうかはまだ確定しておりませんが、開成山特別は'07年以来一度もフルゲートに達しておらず、例年フルゲートになることは少ないレース。例年通りなら問題なく出走できるでしょう。
J・G1・5勝を含む障害重賞9連勝とジャンプ界ではもはや“敵なし”のオジュウチョウサンですが、平地では未勝利馬です。過去には、障害2勝の実績があるメジロパーマーが宝塚記念を勝利したり、芝とダートを行き来した後障害で勝利し、その後日経賞を勝利したテンジンショウグンなどがおりますが、いずれも元々は平地のレース経験が豊富な馬たちでした。オジュウチョウサンほど平地で経験のない障害馬が挑戦するというケースは稀です。
障害競走と平地競走の一番の違いは障害物の“飛越”があるかないかですが、もう一つの大きな違いは“ペース”です。障害競走はジャンプの技術や折り合える気性がとても重要で、平地に比べて経験の豊富な高齢馬が活躍しやすいなど、スピード能力の高さ以外の要素が重要となってきます。そのため、障害競走は平地競走と比べて走るペースが非常に遅いのです。オジュウチョウサンにとっては、普段よりも速いペースについていけるかどうかがカギとなりそうです。
障害競走馬の中では平地力はあると言われているオジュウチョウサンでも、平地の速いペースに戸惑い惨敗する可能性も十分に考えられます。そうなれば記録的な連勝記録がストップするだけでなく、ここで負けて障害に戻っても調子が狂って勝てなくなってしまうといったリスクもあります。
このまま障害路線で活躍していけばさらに勝利を重ねていける可能性が高い馬ですし、オーナーとしてもこれほどまで馬主孝行な馬は重宝したいところでしょう。しかし、オジュウチョウサンのオーナーである長山氏はリスクを承知で平地競走に挑戦することを表明。
「競馬は突き詰めれば夢とロマンだと思う。だからこそ、オジュウにどのくらいの実力があるか一流馬にぶつけてみたい。」
同馬の平地競走出走は賛否両論ありそうですが、ここを勝利すればビッグレースへ参戦する権利が得られるオジュウチョウサン。夢とロマンが一気に広がる大きな1勝を挙げられるか。注目の条件戦です。