ヴィルシーナの初仔ブラヴァスが今週7月8日の日曜、中京競馬場5Rで開催されるメイクデビューに出走する。牝馬三冠では全て三冠馬ジェンティルドンナの後塵を拝す2着に終わり、続けて挑戦したエリザベス女王杯でもレインボーダリアの2着となり3歳世代は涙をのむ結末となったヴィルシーナだったが、4歳になり挑んだヴィクトリアマイルでは悲願となるG1初制覇し、翌年も勝利する連覇を達成した。いずれもホエールキャプチャ、メイショウマンボといった強豪を打ち破ってのものであり、ライバル関係にあったジェンティルドンナが後にG1を合計7勝し、顕彰馬にも選出された歴史に残る名牝だったことも付け加えて、ヴィルシーナの実力も疑うところのない一級品だったことは確かだろう。
さらにヴィルシーナの産駒に期待できるところは母ハルーワスウィートの繁殖牝馬としての成績が非常に優秀な点にある。ヴィルシーナの他に、ジャパンカップ勝ち馬シュヴァルグラン、秋華賞・ドバイターフ勝ち馬ヴィブロスといったG1馬3頭を産んだ名牝の系譜であり、更にその母ハルーワソングから重賞馬が出てきており、このファミリーからさらなる名馬の誕生を予感せざるを得ない。
ブラヴァスの父はキングカメハメハということで、母の父ディープインパクトとの組み合わせでは未だ分母も少なく重賞制覇につながるような目立った戦績はあがっていないが、ヴァナヘイムのように素質の光る逸材も出てきている。思えばあちらこそ現在日本で有数の名家と言えるダイナカール・エアグルーヴ家の血筋である。新興で勢いのあるこの家系から日本のリーディングサイアー同士の配合の代表産駒を出すことができるかも注目だ。
また、ハルーワスウィート産駒は全て買い取ると豪語したことで有名な大魔神・佐々木主浩オーナーだが、孫世代となるブラヴァスも引き続きその手の内に入れた。これまでと異なるのは武豊騎手を鞍上に迎えてデビューという点。乗り替わりもそれなりにするが、ある程度決まった騎手の起用が多く、そのローテーションには今まで含まれていなかったジョッキーであり、この組み合わせだけでも話題性は十分だろう。
ファミリーの発展にかかる期待も背中に受けて出走する今世代でも有数の評判馬ブラヴァス。果たしてどのようなレースをするか必見だ。