今週24日はサウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場でサウジC(G1、ダ1800m)が開催。1着賞金が1000万ドル(約15億円)に上る高額賞金レースということで、世界各国からダートの精鋭が集結する一戦として近年注目を集めている。
昨年は日本から参戦したパンサラッサが逃げ切って優勝し、1000万ドルを獲得。今年は同レースの馬券発売も決まり、国内でも注目度は高い一戦だ。
今年はウシュバテソーロ、クラウンプライド、デルマソトガケ、メイショウハリオ、レモンポップの計5頭が参戦。その中でもとくに期待度が高いのが、昨年のフェブラリーSとチャンピオンズCを制したレモンポップ(牡6、田中博康厩舎)だ。
これまでのキャリア14戦中13戦を連対しており(10-3-0-1)、唯一馬券圏外に敗れたのは昨年3月のドバイゴールデンシャヒーン(10着)で、初の1200mで厳しい流れに対応できなかった。
2度目海外レース挑戦となる今回は1800mということで、昨年のドバイのような結果にはならないはず。これまでの戦績から1400~1600mがベストという印象を強く受けるが、初の1800m戦となった前走のチャンピオンズCでは大外枠から先手を主張してスムーズに逃げ、最後も余力たっぷりに伸びて逃げ切ることが出来た。1800mをこなせたのはスタミナ面において大きな収穫で、サウジCへ向けて期待度を高める内容の競馬であった。
チャンピオンズCの中京1800mは上り坂スタートで長い下り坂を駆け下り、最後には急坂が待ち構えてと高低差が大きくスタミナが問われるコース形態だ。対して今回のキングアブドゥルアジーズ競馬場の1800mは、左回りでコーナーが2つしかないワンターンのコース形態となっており、高低差も1m以内の平坦コースだ。
また、馬場もウッドチップが混ざった砂で非常に柔らかい。米国ダートのように馬の脚に負担がかからず、疲れいくい馬場と言える。日本のダートよりもやや時計がかかりやすく、力のいる馬場ではあるが、日本馬よりもむしろ欧州や米国馬の方が苦戦しそうな馬場という印象だ。
とは言え、あまりタフすぎる馬場だとレモンポップにとっても苦しくなる可能性はある。高速馬場が良さが出るタイプでもあり、馬場については未知の領域を抜けない。ペースについても速すぎるとどうかという不安もある。デルマソトガケがペースを作っていった場合どうなるか、米国競馬のスピード競馬についていけるなど、不安材料もなくはない。馬場については正直サウジCは毎年違っているので当日まで分からないのと、ペースについてもメンバー的に読めない部分もあり、このあたりは判断が非常に難しくなりそうだ。
ただ、コース形態については前走以上に走りやすいコースになるのではないだろうか。先の述べた通り、前走の中京コースよりキングアブドゥルアジーズはレモンポップ向きのコース形態と言える。サウジCはここ数年先行逃げで決着しており、脚質的にもマッチしている。ここは昨年のパンサラッサに続き、日本馬による逃げ切りでの連覇達成の可能性も十分ありそうだ。
日本勢には他にもウシュバテソーロやデルマソトガケなど有力馬が多数参戦しており、外国勢からはG1を2連勝中のホワイトアバリオ、ペガサスワールドCを制したナショナルトレジャーなど2頭の米国勢も強力だ。このメンバーを相手に逃げ切るのは至難の業だが、世界トップクラスを相手にしても引けを取らない能力を備えている1頭であり、今回は改めてその実力を世界に知らしめてもらいたい。