120年以上もの長い歴史と伝統を誇る重賞「天皇賞春」がいよいよ開催だ。
過去10年のデータと傾向を見ると、3勝を挙げている「1枠」(3-0-1-10)以外の枠は0勝か1勝となっており、最内枠が目立って好成績。そんな好枠に今年も有力馬が入った。1枠1番のサリエラだ。
データ的にも好枠であるが、長丁場となるこの一戦で最内から無理なく脚を溜める競馬ができれば、実際に大きなアドバンテージとなる。テンがそこまで速いタイプの馬ではないので難しいという見方もできるが、隣のヒンドゥタイムスの出走取り消しで不利を受ける可能性がほとんどなくなり、かなりレースはしやすくなるはずだ。
また、鞍上の武豊騎手とのコンビは今回が初ということで乗り慣れたルメール騎手からの乗り替わりに不信感を覚えるファンもいるだろう。ただ、春の盾は歴代最多の8勝を挙げており、武豊騎手にとって同レースは十八番レース。あたりの柔らかい騎乗スタイルやこれまでの長距離戦で見せてきた数々の好騎乗を見ても、長い距離は得意な騎手であることは明白だ。“長距離戦は騎手で買え”という競馬の格言通り買うなら、この騎手が乗る馬を買うのが正解だろう。最内枠から隣も不在という条件なら、なおさらエスコートはしやすいはず。このチャンスをうまく活かしてくれる騎乗に期待したい。
サリエラ自身はデビュー戦は1800mだったが、その後は2000mのローズS・2着、2500mの目黒記念で3着、そして前走は3400mのダイヤモンドSで2着と、距離を延ばしてパフォーマンスを上げてきた。中距離戦だとスピード力が劣る分、前走から試した長距離の選択は良い方向へ向いたと見て良いだろう。
その前走のダイヤモンドSは、スローペースを好位追走から抜け出しての2着と理想的なレース運びで好走。スローからの直線勝負という内容で長距離適性は大きく問われなかったが、長く良い脚を使えるタイプの馬であり、やはり長い距離では期待度は高くなる。
とにかくどんな条件でも末脚は堅実なので、最内からスムーズに脚を溜められる可能性が高い今回も、最後は堅実に伸びて勝ち負けを演じてくれるはずだ。重賞未勝利で終わる馬ではなく、ここを制して一気にG1ホースとなるかに注目だ。