中山競馬の土曜メインは中央競馬の平場重賞で最長距離となる「ステイヤーズステークス」が開催される。スプリント戦のスピード勝負も見応えがあるが、長距離戦ならではの騎手同士の駆け引きが織り込まれたレースは、また別の面白さがある。そんな駆け引きが見どころのステイヤーズステークスに、14頭の馬が集結した。
注目すべきは、マンハッタンカフェ産駒の8歳セン馬、ダンディズムだ。今回の出走馬の中では最年長で、3歳馬サンライズソレイユと比べると倍以上の年齢差があるベテラン馬だ。ただし、これまで38戦して重賞勝ちはなく、福島記念での2着と3着があるのみで、他の若い出走馬と比べると実績面では見劣りする。しかし、父マンハッタンカフェが菊花賞、有馬記念、春の天皇賞といった長距離G1を制覇した名馬であり、その血統の強みが発揮される可能性がある点は魅力。
マンハッタンカフェ産駒は短距離から長距離まで幅広く活躍しているが、芝の長距離で特に好成績を残している傾向がある。ダンディズムも例外ではなく、これまで1800mから昨年のステイヤーズステークスまで、中長距離重賞で健闘している。その中でも、昨年のステイヤーズステークスでの6着は評価に値する。3000mを走り切った後の残り600mでもしっかり脚を伸ばし、勝ち馬アイアンバローズとは1.1秒差、そしてその後春の天皇賞を制した2着馬テーオーロイヤルとは0.7秒差という僅差だった。
昨年のステイヤーズステークスを含め、これまで富田騎手が主戦騎手としてダンディズムの持ち味を引き出しつつ健闘してきた。ただし、富田騎手はまだリーディング上位に名を連ねるほどの実績はない。今回、トップジョッキーの戸崎騎手への乗り替わりが、プラスに働く可能性は十分ある。長距離戦では騎手の駆け引きが重要な要素となるため、この交代がダンディズムのパフォーマンスに良い影響を及ぼす可能性が高い。
8歳という最高齢ながらもマンハッタンカフェの血統の強みと、戸崎騎手との新コンビの相乗効果に期待がかかる。ダンディズムが重賞初制覇を果たす瞬間を楽しみに、全力で応援したい。