「おサイフいらずで競馬がさらに便利に、楽しく」のキャッチコピーで登場したキャッシュレス投票ICカードのUMACA。使用感覚は今ではすっかりおなじみとなった交通系ICカードと同様のものと予想されるが、更に高額のチャージが予想されるUMACAの目玉の機能として4桁の暗証番号や手のひら静脈による生体認証を用いられていることが挙げられる。これにより、紛失してしまったさいに他人にカード内の残高を使用されるリスクを抑える事ができる。
また、会員になることでWIN5や海外馬券も購入可能になり、スマートフォンを使用してマークシートいらずで馬券を購入するなど、キャッシュレスな以外にも便利な面が増える。
窓口で現金とだけ交換できていた時代と比べると電話・インターネット投票やJRAダイレクト、そしてUMACAと便利になりつづける一方で変わらない「ハズレ馬券経費」問題に不満が募っている。
法律なので仕方ないと言えば身もふたもないのだが、なぜそのような法律になってしまったのかと言えば、当たり前のように打ち捨てられたハズレ馬券を誰でも簡単に無料で取得できてしまっていたということが出発地点ではないだろうか。ハズレ馬券が経費として計上可能であれば、例え高額馬券を的中させたとしても、競馬場のアチラコチラに落ちているハズレ馬券を拾い集めるだけでいとも簡単に納税義務を回避することが出来てしまうという事情があったために、利用者側も仕方なしに制度を飲み込んでいた面がある。
一方で、馬券販売はどんどんアカウントとのヒモ付を進めてきており、馬券の匿名性は失われつつある。このような状況であれば、当該本人の購入した特定可能なハズレ馬券のみを計上させることは難しいことではなくなり、もっと踏み込めば的中馬券から源泉徴収をし、確定申告で還付することも不可能ではないはずだ。
何にせよまずは税制の見直しが最優先である。正攻法で長期的に「競馬で勝つ」ことが、ほぼ脱税の上に成り立っているという現状の歪さを取り除かねば、クリーンな競馬を打ち出して開拓した新たな客層からそっぽ向かれるのも時間の問題ではないだろうか。
そのためにも馬券と購入者が結びついているのが当然というシステムが成り立つことは歓迎すべきことだろう。UMACAはひとまず9/22より東京競馬場で導入され、各地に順次広がっていく。事前登録なども募集しているため公式サイトをご覧の上ぜひご検討いただきたい。