今週7日、遠く離れたフランスの地で「凱旋門賞」がいよいよ開催されます。今年はリニューアルされたパリロンシャン競馬場での初開催となります。最後の直線でコースの内側に進路ができる「オープンストレッチ」が採用され、レース展開をどう変えるのかなども気になるところです。
今年は日本からはクリンチャー1頭のみの参戦となります。これまで凱旋門賞に挑戦してきた馬は後方からキレる脚を使って勝つ競馬が得意な馬が多かったですが、クリンチャーはどちらかと言うとしぶとさやスタミナを活かす競馬が得意なタイプ。これまでとは違ったタイプの馬が挑戦するという意味では、例年以上に結果が気になるところです。
いつもと違うのは脚質のタイプだけではありません。前哨戦のフォワ賞では最下位の6着に敗れており、欧州のブックメーカー「William HILL」では60倍以上の人気薄。本番は伏兵としての参戦となります。
前走のフォワ賞では、ハナを切って逃げ、スローに落とす競馬を展開。早めに仕掛けはしましたが、伸びずにあっさり交わされるという内容でした。調教代わりだったのかもしれませんし、あえてそうした競馬をしたのかもしれませんが、いずれにせよ、クリンチャー向きの競馬ではありませんでした。
流れる中でそつなく立ち回ってしぶとく粘る競馬をしたいクリンチャーにとって、本番の凱旋門賞はうってつけの舞台と言っていいでしょう。今のロンシャン競馬場は早いラップは出ますし、フォワ賞のようにスローでコントロールする競馬ができる展開にはなり難いと考えます。幸いマークも薄いでしょうし、ハナが切れれば前半からペースを引き上げていき、クリンチャー向きの競馬に持っていければチャンスはあるのではないでしょうか。
“恵みの雨”となるか。前日は「晴れ時々雨」、当日の天気も「曇り時々雨」
今回は天候も味方してくれる可能性も。現地では、レース前日の6日が晴れ時々雨で、翌7日も曇り時々雨の予報となっております(3日時点)。
同馬を管理する宮本調教師も「やっぱり雨は降って欲しいなと思いますね。雨が降ったときはいつも走ってくれますからね」と雨を望むコメントを残しており、鞍上の武豊騎手も渡仏前はクリンチャーの馬場適性に関して「パワーとスタミナがある馬なので、雨は大歓迎だし、重馬場希望ですね」とコメントしており、重馬場適性はベテラン二人からお墨付きをもらっております。
馬場が重たくなれば前記したような前半から早いペースでという競馬は厳しくなってくる可能性はありますが、雨を苦にする馬が出てくるなら、重たい馬場もこなせるクリンチャーにとって雨は歓迎と言えるかもしれません。
今回メンバーには昨年の覇者のエネイブルをはじめ、G1・2勝のシーオブクラスや、前哨戦のフォワ賞を完勝したヴァルトガイストなどがおり、かなりの強敵揃いです。厳しい舞台ではありますが、クリンチャーには強みを存分に発揮してもらい、武豊騎手と共に悲願の日本馬初優勝を果たしてもらいたいと思います。PATでの購入とはなりますが、単勝馬券を手に応援したいと思います。