20日(土)は東京競馬場でマイルCSの前哨戦「富士S」が開催されます。昨年はエアスピネルが優勝し、その後のマイルCSでも2着に好走。マイルCSにおける富士S組の成績は「3-4-1-44」と前走レースの中ではトップの成績です。本番を占う上でも見逃せない一戦と言って良いでしょう。
今年のメンバーは昨年の勝ち馬エアスピネルをはじめ、富士Sでは5着に敗れたもののマイルCSを制してG1馬となったペルシアンナイト、関屋記念とオータムHで連続2着に好走した夏の上がり馬ワントゥワンなど、今のマイル路線を賑わせる猛者達が集結しました。
上記であげたようなすでにマイル路線で活躍する馬達は比較的評価がしやすいのですが、問題は他路線から参入してくる馬。絶対王者が不在の現在のマイル路線は他の路線からの参入が容易で、マイル以外の路線でタイトルを持っていた馬が層の薄いマイル路線で王者を狙いに移ってきたり、他路線でうまくいかなかった馬が一気挽回を狙って移ってくるといったケースが少なくありません。
今回の富士Sで他路線から参入してくる馬で注目したいのは3歳馬のジャンダルムです。
昨年に阪神のマイルでデビューして勝利し、2戦目ではマイルG2のデイリー杯2歳Sを制しており、マイル適性は高そうな一頭。その後はホープフルSで2着に好走し、今年は弥生賞でも3着に好走。徐々に距離を伸ばして今年はクラシック路線へと進みましたが、皐月賞では9着、ダービーでは17着に大敗しました。
「他路線から」と言ういうよりは「適距離に戻ってきた」と言った方がしっくり来ますが、他路線でうまくいかなかったという意味ではカテゴリー的には他路線からの馬となるでしょう。とは言え、過去のマイルでの実績や、母親がビリーヴという血統的な後押しもあり、マイルならと期待したくなる一頭でもあります。ただ、当初は米G1のBCマイルへ向かうはずでしたがダービーで惨敗したため基準のレーティングに達せずにそのプランも断念。主戦の武豊騎手はエアスピネルにも騎乗しておりどう乗り分けるのか気になっておりましたが、池江厩舎に縁の深い前田幸治オーナーが率いるノースヒルズということもあってか、富士Sはジャンダルムで参戦。一方のエアスピネルは福永祐一騎手へと乗り替わりとなりました。
ここまで陣営の思い描いていたプラン通りにいっていない点や、賞金にも余裕がない点、先約とは言え鞍上が振り回され気味な点など、色々とスムーズにいっていない点は気がかりです。この富士Sで期待通りの結果を残せるかが今後を左右することになりそうです。
ただ、色々とごたごたしてはおりますが、個人的には能力面では期待をしていい一頭だと思っています。
ホープフルSはハイペースの流れの中で一足使っての2着に好走しており、速い流れもこなせます。デイリー杯2歳Sではスローからの上り3F勝負で完勝しており、長い距離でなければ比較的どういう条件でもある程度の脚は使ってくれるという心強さがあります。
古馬相手に通用するかどうかの不安はありますが、ペルシアンナイトは斤量が59キロで、エアスピネルも57キロ。ペルシアンナイトは叩きの可能性が高く、エアスピネルも約半年ぶりの出走といずれも不安材料は少なくありません。そんな中で54キロという軽い斤量で出走できる点はジャンダルムにとって好材料ですし、距離短縮もプラス。前走よりも明らかに条件は好転していると言って良いでしょう。
3歳馬のジャンダルムにとってここは今後を左右する一戦。適距離、適鞍を得て本領発揮となるかに注目したいと思います。