今週の弥生賞(G2)は、リオンディーズとエアスピネルの再戦に注目が集まっている。前走・朝日杯FS(G1)から、約2ヶ月。阪神外回り1600メートルから、今度は、中山2000メートルに舞台を移す。
軽快なスピード、立ち回りの上手さ、ジョッキーの指示に素直に従う操縦性の高さ。競馬が上手なエアスピネルにとっては、広々とした、阪神外回りコースよりも、小回り中山は向いているような気がする。
前走は、スタート完璧、道中の折り合い完璧、仕掛けのタイミング完璧、直線の脚も完璧のように見えたから、あの時点では、リオンディーズの爆発力が1枚上手だった。ただし、エアスピネルも、3着以下に4馬身の差を付けて2着に入線している。
エアスピネルの主戦は武豊騎手。弥生賞通算7勝を挙げているジョッキーである。武豊騎手といえば、若駒に対して、実戦で競馬を教え込むのが上手な騎手。この弥生賞でも、度々、皐月賞(G1)、その先のダービー(G1)を見据えて、どれだけの長い脚を使えるのかなどを図る騎乗をよくする。弥生賞においては、1着よりも、内容を重視するタイプである。
近年では、2014年の日本ダービーを勝った、ワンアンドオンリーの横山典弘騎手が代表的。ワンアンドオンリーは弥生賞2着、皐月賞4着を経て、ダービーを先行抜け出しで勝った。弥生、皐月の競馬は、道中、ジッと我慢して、最後の直線だけの競馬をしていた。
「もっと早く動けば勝てたかもしれないのに」このような声が上がったりもしたが、おそらく、この騎乗は全てダービーのため。
全ての馬に当てはまるわけではないが、道中、あまり馬を動かす競馬をすると折り合い面で不安が出てくる場合がある。距離が延びるダービーでは、折り合いは非常に大事。トップジョッキーはみんなこのことを十分理解しているから、目の前のレースに全力ではなく、その先までを見据えた競馬をよくする。
武豊騎手の場合だと、99年アドマイヤベガ、最近では13年キズナが、この弥生賞でそれぞれ、折り合い重視の最後の直線勝負で負けている。道中はジッとしている場所なんだよということを教えて、2頭とも、春の最終戦の日本ダービーの直線の爆発的な末脚につなげた。
一流馬の背中を知り尽くしているジョッキーだけに、今回、エアスピネルの道中のポジション取りも含めて注目してみたい。タイプ的に、スピード豊かな馬なので、過去に武騎手が跨ってきた名馬と違い、そのまま先行することも十分に考えられる。今週はエアスピネルの競馬からも目が離せない。