国際競走の「ジャパンカップ」がいよいよ25日(日)に東京競馬場で行われます。
ジャパンカップと言えば、海外からの招待馬と日本馬が対戦する一戦としても有名ですが、近年は強敵と言えるような外国馬が集まることは少なくなった印象を受けているファンも少なくないでしょう。
一昔前は毎年のように外国馬が5~7頭も参戦しておりましたが、近年は3~4頭がいいところ。来日したとしても実績が乏しい馬が多く、伏兵的な存在として扱われることがほとんどです。今年は欧州から2頭の外国馬が参戦。2005年のアルカセット以来の外国馬は勝てておりませんが、果たして今年は日本馬の連勝を食い止めることができるのか?2頭の外国馬を考察してみたいと思います。
カプリ(牡4、A.オブライエン厩舎)
去年のアイダホに続いてA.オブライエン厩舎が送り出すのはカプリ。父Galileo、母Dialafara、母父Anabaaという血統。愛ダービーと英セントレジャーの覇者であり、実績はアイダホ以上です。愛ダービーではこの秋に世界ランキング1位タイになったクラックスマンをクビ差で退けて優勝し、能力の高さを示しました。
今年はG3が1勝のみという成績ですが、2走前の凱旋門賞では0秒5差の5着に善戦しており、前走の英チャンピオンステークスでも4着に善戦。前走は勝ち馬のクラックスマンが6馬身差の大差をつける完勝でしたが、2着馬には大きく負けてはおりません。日本のG1戦線でも十分戦える能力は備わっているように感じます。
問題となるのはやはり外国馬にとって鬼門とも言える日本の軽い馬場。カプリの良馬場成績は5戦して「1-0-1-3」で、稍重以上で10戦して「5-1-1-3」と重たい馬場を得意としていることが分かります。当日は良馬場が濃厚ですが、どこまで対応できるかがカギになりそうです。
鞍上はコンビを組んで「3-0-0-1」のR.ムーア騎手。2013年はジェンティルドンナでジャパンカップを制した実績もある心強い騎手なだけに、下手な競馬になることは想像し難いです。
サンダリングブルー(セ5、D.ムニュイジエ厩舎)
2頭目のサンダリングブルーは父Exchange Rate、母Relampago Azul、母父Forestryという血統。G1タイトルの実績はまだありませんが、近走が好調な上がり馬です。
サンダリングブルーのベストバウトは何と言っても3走前の英インターナショナルステークスでしょう。結果は3着でしたが、勝ち馬のロアリングライオンは欧州年度代表馬で、3馬身程離されましたが斤量は3.5キロ差ありましたし、2着馬でキングジョージ馬のポエッツワードには1/2馬身差まで迫りました。出走メンバーで唯一G1未勝利馬という立場ながら、直線では後方から追い込み超格上相手に善戦したレースぶりは高く評価して良いでしょう。
前走のカナディアンインターナショナルはデザートエンカウンターの2着に敗れ、惜しくもG1初制覇とはなりませんでしたが、スタート直後に他馬と接触し、直線でも前が塞がってしまう不利があってのもの。スムーズならと思わせる負けて強しの印象を残した走りでした。
良馬場の成績は14戦して「2-3-4-5」で、稍重以上では8戦して「4-1-1-2」という成績。良馬場適性はカプリよりも高そうですし、左回りも15戦して「4-2-4-5」と好成績。長く良い脚が使える脚質は東京コースとも合いそうです。
コンビを組むのは近5戦で手綱を握るF.ベリー騎手。ジャパンカップへの参戦も英インターナショナルステークス後にベリー騎手の助言があって決めたということで、自信をもって挑む姿勢が感じ取れる点も好材料です。
以上、2頭の外国馬を簡単に考察してみました。
近年はインターネット投票で海外馬券が購入できるようになり、外国馬をより身近に感じることができるようにはなったように感じます。ただ、ジャパンカップにおいては近10年の外国馬の成績が「0-0-0-42」と不振傾向にあり、「外国馬はバッサリきる」という予想が定着してきた印象があります。
昔のように未知な魅力を持つ強い外国馬が日本馬相手にどのようなパフォーマンスを見せてくれるのかを楽しみにしながら予想するジャパンカップはもう何年も味わっていないような気がするのは筆者だけでしょうか。
騎手の業界では外国人騎手の積極的な参入により日本の競馬レベルは一つ引き上がったようにも思えます。強い外国馬が参入してくれば、ジャパンカップというレースもレースとしての面白さのレベルが上がってくるのではないでしょうか。いずれにせよ、今年参戦する外国馬2頭は例年以上に陣営の本気度が高そうなだけに、注目したいと思います。