2歳牝馬の若き乙女たちが覇権を争うG1「阪神ジュベナイルフィリーズ」が9日、阪神競馬場で行われる。昨年は新種牡馬オルフェーヴル産駒のラッキーライラックとルーラーシップの2年目産駒リリーノーブルがレースを盛り上げたが、今年はディープインパクト産駒の2頭が主役となりそうだ。
まずは前哨戦のファンタジーSを勝ち進めてきたダノンファンタジー。新馬戦で2馬身差をつけられて負かされたグランアレグリアは牡馬混合の朝日杯FSへ向かうため、牝馬路線では同馬が主役となる。グランアレグリアには負けたものの、3着以下は圧倒するパフォーマンスで、時計・ラップを見ても優秀な競馬をしたことが分かる。
前走のファンタジーSでも先団から押し切る王道の競馬で他馬を完封。新馬戦と未勝利戦では折り合い面で掛かる一面が見られたが、前走は道中で一瞬だけテンションが上がったくらいで許容範囲内。デビューから3戦全てで手綱を握っている川田騎手は香港での騎乗があるため、C.デムーロ騎手へと乗り代わりとなる。乗り慣れて折り合いもつきはじめてきた騎手からの乗り替わりなだけに、注意したいポイントだ。
ただ、1週前追い切りではクリスチャン騎手を背にCW6F82秒5-12秒2、古馬1000万のゼンノワスレガタミを4馬身半追走し頭差先着と好内容。調整は順調で、クリスチャン騎手も「フィーリングもベリーグッド。ジュベナイル、グッドチャンス」と好感触をつかんだ様子。ファンタジーS組は過去10年で1勝のみと不振だが、このメンバー構成なら能力的には当然最上位だろう。
もう1頭の有力馬がシェーングランツだ。半姉がソウルスターリングという良血で新馬戦では1番人気に推される期待馬だったが、後に京都2歳Sを制したクラージュゲリエに4馬身以上の差をつけられ5着と完敗。パドックでは立ち上がったり首を振ったりで落ち着かす、レースでも幼さが目立つレースっぷりだった。しかし、未勝利戦では後続を5馬身以上引き離し快勝し、アルテミスSでも後方2番手から直線で一気にまくって完勝した。
アルテミスSは前が飛ばす中で後方2番手と序盤は絶望的な位置だったが、後半スローとなったおかげで取り付くことができた。展開が向いたおかげもあったので、マイル適性についてはまだ判断しづらい部分がある。スタートが悪い点やエンジンのかかりが遅い点など課題はまだまだあるが、スピードにのってからの脚色は素晴らしく、クラシックでも見たい1頭だ。
前走はマイルだったが直線が長くて広い東京コースは相性が良かった。今回は阪神のマイルとなるが、直線も短くはないし差しも決まりやすく、ディープインパクト産駒が得意としているコースの一つでもある。ただ、スタートが良くない同馬は今回も後方からの競馬になる可能性が高く、マイルだと前半の位置取りが後ろすぎるとどうしても苦しくなるため、どうしてもペースがカギとなってくる。鞍上は前走に引き続き武豊騎手が騎乗予定。ペースを読むのは得意な騎手で、藤沢厩舎とのコンビということもあり人気も集まりそうだが、個人的にはまだ警戒したい1頭だ。
他にも、アルテミスSの3着馬ビーチサンバや、アイビーSを2馬身差つけて快勝したクロノジェネシスなど魅力ある好素材が揃った平成最後の阪神ジュベナイルフィリーズ。ここの勝ち馬は翌春のビッグレースでも活躍を見せる馬が多く、来たるべきクラシックロードを展望する一戦としても注目したい一戦だ。