天皇賞・春のような長丁場のレースにおいては、「追い込み」が決まることは滅多にありません。過去10年のデータ・傾向でも記したとおり、追い込み馬の成績は「0-0-0-44」と全く勝負になっておらず、掲示板内ですら僅か4頭と厳しい成績です。
この時期の京都は高速馬場になりやすいため、天皇賞・春はとくにこの傾向が顕著に出ております。今年はとくに高速化が著しく、先週は前残りの決着が多発。また、1000万下クラスで2200mの日本レコードが飛び出し、マイラーズCを勝ったダノンプレミアムが上がり32秒2を叩き出すなどあからさまにその影響が出ました。
例年以上に高速化している今年はとくにですが、例年重要視しているのは「3コーナーでの位置取り」。過去10年の天皇賞・春の勝ち馬10頭のうち、5頭は3コーナーで3番手以内だった馬でした(5-3-3-26)。
序盤で控えている馬は、3~4コーナーあたりでポジションを押し上げていく必要がありますし、後方待機策が多い馬や、ゲートに不安がある馬などは割り引いて考えたいところです。今年はエタリオウやフィエールマンといった有力馬が後方から競馬をするタイプなので、前で競馬をする伏兵にも大いにチャンスがありそうです。
さて、ということで今回は「前走で3コーナー位置が3番手以内だった馬」に焦点を当ててみたいと思います。
前走で3コーナー位置が“3番手以内”だった馬4頭
エタリオウ
前走に日経賞では序盤は控えて中団から進めておりましたが、逃げたメイショウテッコンが緩めのペースで逃げたこともあり、早めに上がっていき3コーナーは2番手で通過し、そのまま2着に入着しました。前走は早めに上がっていきましたが、基本的にはギリギリまでじっくり構えて後方を追走する馬です。ただ、ダービー(4着)や菊花賞(2着)でも後方から伸びて好走しており、能力上位で長距離適性の高さも見込める点は魅力です。
パフォーマプロミス
行き脚がない馬でしたが、前走の京都記念はスタートも良く、逃げ馬の後ろという絶好のポジション。3番手の好位内でジックリと脚をタメる形で進めますが、直線は荒れた内を通らざるを得ない状況に追い込まれ、伸びが鈍って4着敗退。前走は珍しくスタートが良かったですが、基本的にあまりスタートは速くないので今回のメンバーで前目につけれるかどうか。これまでのG2・2勝はスローの決め手勝負なだけに、ハイペースになったときにスタミナがもつかも気になるところです。
メイショウテッコン
前走の日経賞で逃げ切り勝ちを果たし、重賞2勝目を達成。今回の逃げ馬候補です。揉まれ弱い馬で、絶対にハナを切りたいタイプではありませんが、3番手以内にはつけていく可能性は大。同系にロードヴァンドールとヴォージュがいるので、この2頭の出方や、枠順によるところも大きいでしょう。前走は武豊騎手の絶妙なペースで快勝しましたが、今回はテン乗りの福永騎手へと乗り替わりとなります。長距離戦での好騎乗や、積極策を取っていくイメージがあまりない騎手ですが、リズムよく先行できるかがポイントとなりそうです。
ロードヴァンドール
もう1頭の逃げ馬候補です。重賞勝ちはありませんが、重賞で馬券圏内に来たのは全て逃げてのもの。前走は序盤は同系馬に行かせて、途中で仕掛けて先頭に立って3着に粘りました。枠順にもよりますが、テンの速い馬なので、今年の逃げ馬候補の中ではハナに立つ可能性が高い1頭です。他の同系が主張すれば、単騎の2番手という手も。スローで好走してきており、ハナを切った場合、横山騎手がどういうペースを展開するかもしっかり考察しておきたいところです。
ヴォージュ
最後の逃げ馬候補、ヴォージュです。2走前の万葉Sで逃げ切り勝ちを果たし、前走の阪神競馬場では3番手から追走して8着に敗退。今回陣営が「逃げ宣言」をしており、伏兵的な立場ということもありマークも薄くなここは警戒したい1頭です。玉砕覚悟のロングスパートの競馬でもすればかなり面白くなりそうですし、レースの鍵を握っている1頭と言っても過言ではないでしょう。あとはこの距離を残せる力があるかどうか。
以上、前走で3コーナー位置が3番手以内だった馬4頭を紹介しました。枠順の発表や馬場状態が分かり次第、取捨絞り込みをしていきたいと思います。