一番の期待馬アーモンドアイが凱旋門賞回避を発表したことで肩を落としたファンも少なくないと思いますが、今年は他にも豪華な面々が参戦を示唆しております。
天皇賞・春を制したフィエールマン、血統背景魅力も全ては状態次第
すでに登録を完了させているのは昨年の菊花賞馬フィエールマン(牡4、手塚貴久厩舎)。同馬を管理する手塚調教師によれば、実際に出走するかどうかは天皇賞・春の結果次第になるということでしたが、先日見事1番人気の期待に応えて天皇賞・春を勝利し、菊花賞に続くG1・2勝目を達成しました。改めて凱旋門賞挑戦について問われると「楽ではない。環境への適応力ということもある。でもまだ、半年ある。彼の成長を待って、精神力に体力が追いついてくれば。まだきゃしゃですから」と慎重な口ぶりの中にも期待をにじませました。
フィエールマンはもともと体質の弱さもあり3歳新馬でデビューしており、レース数も抑えられているので、輸送や環境変化などの懸念からまずは出走できるかどうかが一番の懸念としてあります。さらには、脚質的にはキレのあるタイプなので、パワーが問われやすい欧州の馬場では十分に能力が発揮できるかどうかの懸念もいざ出走するとなると出てくるでしょう。ただ、母リュヌドールはフランスで3勝を挙げており、うち2勝は芝の2400mと2500mの仏重賞を制しており、近親には凱旋門賞3着のリュートアンシャンテもおります。血統的背景としては期待ができそうですね。いずれにせよ、海外プランは状態次第。今後も引き続きレース後の状態や経過を見ながら判断していくことかと思われます。
キセキとサートゥルナーリアのG1馬2頭出し。角居師の悲願達成なるか?!
凱旋門賞への1次登録を済ませたG1馬は他にも、キセキ(牡5、角居勝彦厩舎)、サートゥルナーリア(牡3、角居勝彦厩舎)、ブラストワンピース(牡4、大竹正博厩舎)などがおり、1次登録の段階でかなり豪華な面々が揃いました。
前走の大阪杯・2着のキセキは、次走に宝塚記念を予定しており、出走するか否かはここの結果次第とされております。昨年秋から川田騎手が主戦騎手として5戦連続で騎乗しており、宝塚記念も川田騎手とのコンビが予想されます。この1戦で結果を残すことができれば凱旋門賞でもコンビ継続となる可能性は高そうです。そうなれば川田騎手は2014年のハープスター、2017年のサトノノブレス以来、3度目の凱旋門賞挑戦となります。2017年は僚馬サトノダイヤモンドの“ラビット役”を担わされましたが、鞍上の不慣れなエスコートに加えて馬が前で競馬をするタイプではなかったため、うまくその役割を果たすことができませんでした。今回は同厩舎のサートゥルナーリアのラビット役という見方も出来ますが、川田騎手としてはサトノノブレスの時の雪辱を果たしたい想いもあるでしょうし、そのまま前のキセキの方が先着という可能性にも期待したいところです。
僚馬サートゥルナーリアは前走の皐月賞を制し、次走はダービーを予定。オーナーであるキャロットファームの秋田社長は、出走するか否かは「ダービーのパフォーマンス次第」としており、あくまで選択肢の一つであることを強調しておりますが、G1・2勝でここまで負けなしの4連勝という実績馬。アーモンドアイが凱旋門賞を回避した分、大きな期待を背負うことになりそうです。また、サートゥルナーリアとキセキを管理する角居調教師は2021年をもって厩舎を解散する予定となっているため、凱旋門賞に挑めるチャンスは今年と来年の2度しか残されておりません。角居厩舎は過去にヴィクトワールピサで2度凱旋門賞に挑戦しておりますが、一度目の2010年は7着、二度目の2011年は現地で故障を発症し、志半ばで帰国するという苦い思い出があります。挑戦できる数少ないチャンスをものにしたいという想いはあるでしょう。G1馬2頭出しが実現すれば、かなり面白くなりそうですし、一競馬ファンとしても角居師の悲願達成を応援したいものです。
池添騎手、ブラストワンピースでオルフェーヴル降板の雪辱果たせるか?
昨年有馬記念を制してG1初勝利を飾ったブラストワンピースも1次登録を済ませました。次走はまだ未定となっておりますが、「今後の選択肢を広げるため」と発表されているように、いずれは海外プランが実現される可能性が高い1頭です。というのも、父ハービンジャーは英国G1のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスの勝ち馬で、ブラストワンピース自身も非常に馬格があり、脚質的にも欧州の馬場適性が見込まれます。主戦の池添騎手はデビューから8戦すべてで手綱をとっており、このまま凱旋門賞も池添騎手とのコンビで参戦となりそうな気がしますが、過去には同じくデビューから手綱を握っていたオルフェーヴルを凱旋門賞挑戦時に「欧州での経験不足」という理由で2年連続で降ろされるという苦い経験があります。個人的には応援の意も込めてこのまま池添騎手で挑戦してもらいたいところですが、前走の大阪杯で1番人気ながら6着と期待を裏切る結果に終わってしまっているだけに、乗り替わりの可能性も全くないとは言い切れません。次走は全くの未定ですが、鞍上はどうなるのか、海外へと遠征するのかなど、先が気になる1頭です。
以上、凱旋門賞への1次登録を済ませた4頭のG1馬を紹介させていただきましたが、全頭出走するか否かは未だ未定のまま。騎手や調教師、オーナー等の様々な想いが詰まったビッグレースなだけに、一競馬ファンとしても楽しみでなりません。願わくば、上記で記した4頭全てが出走してくれることを望みます。