札幌開幕週のメインレースはクイーンS(札幌・芝1800m)だ。北の大地で今夏も女王を決める。今年集まったメンバーはなんと10頭。登録の時点で14頭しかいなかったので少頭数でのレースが予想されていたが、10頭という少なさは一昨年の函館開催を除けば同レース開催当初の'87年以来実に28年ぶりである。
今回は少頭数で行われるレースの特徴を2点あげたいと思う。
"まぎれ"が少ない
競馬で言う"まぎれ"とは"紛れる"と同じ意味で、勝負の行方が様々な要素によって紛れたりすることを"展開のまぎれ"と言う。競馬のレースは大体16~18頭で行われるレースが多いが、これだけの数の馬が走るのだから考えられるレース展開のパターンは数えきれないほどある。
例えば、100m走を10人で競うレースと、100人で競うレースがあるとしよう。9人を相手に競うのと、99人を相手に競うのでは99人を相手にするほうが大変だし、展開が様々な要素によって左右されやすい。
例えが少々極端すぎるかもしれないが・・・少頭数で行われるレースは多頭数の時に比べると圧倒的にまぎれが少ないのだ。スペースが取りやすく各馬は非常に走りやすくなるため、大どんでん返しみたいな展開には中々ならない傾向にある。
"差し馬"がきやすい
少頭数のレースは差し馬にとって有利に働く傾向がある。例えば、18頭立てのレースで差し馬が後方10番手を追走しているとしよう。この差し馬はゴールまでに他8頭の馬を抜いていかなければならないのだ。大体3~4コーナーあたりから仕掛けるとして、残り数百メートルで抜いていかなければならない。その間他の馬だって大人しくしているわけではない。前には抜かれまいと粘る馬もいれば、一頭でも追い抜いて順位をあげようと外に広がる馬がいたり、バテて下がってきたりする馬がいたりと、直線では各馬がめまぐるしく動いているのだ。頭数が多ければ多いほどその障害は多く、進路を確保するのが非常に困難なのだ。
逆に10頭程度の少頭数のレースになれば、普段の16~18頭のレースに比べるとかなり競馬がしやすくなる。もちろん走りやすくなるという点では先行馬にとっても同じだが、差し馬にとっては特にプラスとなるだろう。
注目の差し馬2頭
レッドリヴェール
小柄でキレ味抜群の4歳馬だ。'13年の阪神ジュベナイルフィリーズ(G1・阪神芝1600m)では8番手から一気に差し脚を伸ばし、あのハープスターをハナ差で抑えて優勝したほどの実力を持つ。新馬戦以来少頭数でのレースは走っていないので、今回は自慢の差し脚を活かせる大きなチャンスである。
フーラブライド
昨年の中山牝馬S(G3・中山芝1800m)では牝馬とは思えぬパワフルな豪脚で大外から7頭をぶち抜いて快勝した。日経新春杯(G2・京都芝2400m)でも牡馬相手に好位から差して2着にくい込んでいる男子顔負けの差し馬である。少頭数で牝馬限定戦なら条件的にはもってこいだろう。