5月7日(土)はアメリカのチャールズタウン競馬場でケンタッキーダービー(G1)が開催されます。競馬ファンでもご存知でない方が多いかと思いますが、ケンタッキー洲で行われるこのケンタッキーダービーは140年以上もの歴史を誇る米国競馬の伝統的なレースなのです。
ケンタッキーなんて聞くと多くの皆さんが「ケンタッキー・フライドチキン」を連想しそうですが、ケンタッキー洲は馬の生産地としても大変有名なんですね。生産されたサラブレッドはもれなくすべてこのケンタッキーダービーを目指しますし、アメリカで馬を持とうという人なら誰もがケンタッキーダービーに馬主として参加することを夢見るでしょう。それほどまでに大きなレースなのです。アメリカにはアメフトのスーパーボウル、ゴルフのマスターズ、テニスの全米OPといったスポーツ界の超ビッグイベントが揃っておりますが、このケンタッキーダービーはそれに肩を並べるほどと思って下さい。
日本からはドバイ・UAEダービーの勝馬"ラニ"が参戦!
そんな米国競馬の代表的なビッグレースに日本馬のラニ(牡3、松永幹夫厩舎)が参戦します。倍率1000倍以上とも言われるそんな偉大なレースに出走できる事自体が快挙なことでありますが、実はラニは日本調教馬とは言え産地もアメリカで血統はバリバリの米国血統で、馬主である前田幸治オーナーもアメリカの競馬に精通していることから、ケンタッキーダービーへの出走には何かの縁を感じますね。
そんなラニの手綱を握るのはドバイのUAEダービー(G2)でもコンビを組んだ武豊騎手です。今でこそフランスやイギリスでの騎乗が多いですが、そもそも武豊騎手が初めて海外で騎乗したのはアメリカです。1989年にイリノイ州にあるアーリントン競馬場で初騎乗し、初日こそ勝てなかったものの、2戦目には勝利して海外初勝利をあげております。以来海外での騎乗も徐々に増えていくのですが、海外初重賞勝利を決めたのも実はアメリカです。当時武豊騎手は若干22歳。まだ騎手としては若手ですし、アメリカではもちろん無名騎手です。そんな若手の日本人騎手がアメリカの重賞を優勝したのですから当時は現地のアメリカ人も驚いたに違いありません。
アメリカでの重賞初勝利から約25年経ちますが、あの頃の若手の日本人騎手がアメリカ競馬の最高峰であるケンタッキーダービーに日本馬で出走するなんて当時レースを見ていたアメリカ人はおそらく夢にも思わなかったでしょう。
今年のケンタッキーダービーには昨年の全米2歳王者でケンタッキーダービーの前哨戦であるフロリダダービー(G1)を制したナイキスト(牡3)や、同じく重要前哨戦のサンタアニタダービー(G1)を制したイグザジュレイター(牡3)、ルイジアナダービー(G2)を制したガンランナーなどの強豪が揃っております。強い馬ばかりですが、UAEダービーで力強い走りを見せたラニも十分期待できますし、米国競馬で活躍の経験がある武豊騎手とのコンビなら何かやってくれるかもしれない!と期待せずにはいられませんね。チャレンジャーとして参戦するラニと武豊騎手には心からの敬意を表し、当日は日本から応援したいと思います。