年に1回の牝馬マイル王決定戦であるヴィクトリアマイル。各世代の実力馬が府中の1600mにて激突し、熱い戦いが繰り広げられる。今年の出走馬を見渡すと、牝馬戦らしからぬ広い世代に渡っての対決で、非常に楽しみな一戦だ。そして、今回のVMのコラムでは題名にピックアップした馬を中心に取り上げていきたいと思う。まず、4歳勢代表は①ミッキークイーン。昨年のオークスと秋華賞を制した2冠馬で、前走の阪神牝馬Sでも2着。叩いた上積みも見込める今回は、1番人気にも支持される可能性が高い1頭である。次に、5歳代表は②ショウナンパンドラ。なんと昨年は世界中から豪華なメンバーが揃うJCで牡馬を蹴散らす勝利。前走の大阪杯でもG1馬が多数出走するレースで3着に好走しており、昨年8着に敗れた借りを返す一戦となりそうだ。そして、6歳勢は何と言っても③スマートレイアー。脚質転換後の2走で2連勝。前走の阪神牝馬Sでは1番人気のミッキークイーンを破っての勝利で、展開次第では侮れない存在と言える。さらに、7歳勢は言わずもがな④ストレイトガールであろう。昨年のVMはもちろん、スプリンターズSも勝利し、スプリントとマイルでG1制覇。前走こそ海外帰りや斤量面が響く大敗も、まだまだ若い印象で、巻き返しの可能性は十分あるだろう。

以上が、世代を代表したトップクラスの馬である。他にも4歳であればルージュバックやクイーンズリング、5歳だとマジックタイム、6歳はメイショウマンボやウインプリメーラなどがいる。ただ、今回は上記の4頭を中心の解説とし、まずはその前に2年連続◎ストレイトガール、◎ケイアイエレガントで高配当をゲットした倉本自身が考える的中のポイントを3つに絞って簡単にまとめたいと思う。

1つ目は馬場傾向である。先週までの東京の馬場状態を見ても、東京の芝コースは高速馬場である事は間違いない。また、今週からBコースへ替わる点を考慮しても、内有利・前が止まらない馬場になる可能性も大いにありうる。そうなると、後方大外ぶん回しの競馬では届かない可能性が非常に高い。昨年で言えばスマートレイアーとディアデラマドレがその例で、外枠を引いた差し馬は大きくマイナスと考えるべきであろう。なるべく高速馬場にも対応出来る脚質で、1つでも内目の枠を引くのが理想である。そして、2つ目は体調面である。この後に牝馬にとって目ぼしい大レースがない事を考えれば、休養明けを叩いてきている馬はメイチの仕上げの可能性が高い。一方で、ここを休み明けの馬は80%の出来としても普段のレース以上に体調面で大きな差が生まれてしまう。もちろん、昨年のケイアイエレガントのように例外もあるが、軸は確実に叩いて調子の良い馬を買うのが無難と言えるだろう。最後の3つ目は展開面である。昨年はミナレットが大逃げすることで騎手が難しい判断を強いられてしまったように、実力が拮抗しているレースこそ展開が非常に重要となってくる。今回は明確な逃げ馬が存在しない上に、差し脚質に人気馬が集まっている。スローで縦長になれば、穴馬の先行馬が馬券に絡むレースとなるだろう。

上記4頭で条件に当てはまる馬はどの馬だ！？

簡単にであるが、3つにピックアップして的中のポイントをまとめた。では、ここからは人気上位馬を先ほど解説した的中のポイントを照らし合わせて考察していきたい。まず、①ミッキークイーンは言うまでもなく差し〜追い込み脚質。また、展開面には恵まれそうにない上に、1600mの距離適性もギリギリと言える。ただ、長期休養明けを叩いた上積みは大きく見込めることは間違いない。そして、この馬の取捨選択の最大のポイントは先ほど取り上げたようにどの枠順を引くかによるので、内枠ならば良し・外なら相当評価を下げる形で徹底したい。②ショウナンパンドラは距離によって脚質を変えることができる自在性のある馬。昨年は敗れるレースとなってしまったが、1600mの適性は全く問題ない。その点が不安視され人気を落とすようであれば、今回は格好の狙い目となるだろう。体調面も①ミッキークイーン同様に上向きに違いない。一方で、③スマートレイアーはここ2走を見ても前に行く方が良いタイプ。武豊騎手とのコンビに一抹の不安があるものの、スタートさえ決めてある程度出す意思を持った競馬ができれば、もちろん馬券に絡む可能性は高い。ただ、安定感の点から見ると軸として買いづらい1頭とも言える。最後の④ストレイトガールもマイルであれば中団より前で運ぶことが可能。年齢面と前走の大敗で人気を落とすことが予想されるが、昨年のような圧勝の可能性も秘めた馬。相手には必ず取り上げたい1頭である。

やはり、上記4頭で崩れる可能性が一番高いのは①ミッキークイーンである。もちろん、実力面では評価しているが、如何せんヴィクトリアマイルとの相性が良いとは決して言えない。ただ、それ以外の人気が予想される3頭に関してはどの馬も安定感があり、昨年並みに波乱含みのあるレースとは言い難い。もちろん、ウインプリメーラやシャルールなど穴馬も混在したレースとなるが、読者の方には穴馬を含めてぜひ金曜日に発表される枠に注目して頂きたい。ミッキークイーンを除いた上記3頭がどの枠で並ぶか。おそらく最も内目の枠を引いた馬が幸運の女神として、マイル女王に輝く可能性が高いであろう。