【レパードS】成り上がるかクロスクリーガー?セリ取引1000万以下のダート馬の進撃

つい先月、北海道苫小牧で日本最大のサラブレッドのセリ市「セレクトセール2015」が開催された。今年もディープインパクト産駒が人気で、最高値はなんと2億3500万円という金額で落札された。代官山に家が建つほどの金額である。

セレクトセールの場内では鑑定人の声と馬主達の勢いの良い掛け声が場内に響き渡る。

「7000万~7000万~ございませんかぁ~」
「フェーイッ!」
「7500万~7500万~ございませんかぁ~」
「フェーイッ!」
「8000万~8000万~ございませんかぁ~」

ひと声かかるたびに500万円や1000万円という単位で上がっていく。こんなところにいると日常の金銭感覚はすぐに吹っ飛んでいってしまう。ちなみに掛け声の「フェーイ」とはハイと挙手するときの掛け声である。

さて、そんなセリ取引で907万円という取引価格で落札された馬が今ダート界で名を馳せてきている。

その馬の名前はクロスクリーガー(牡3、庄野)。

907万円という競走馬としては安値と思われる値段で取引されたダート馬である。(907万円が安値と感じてしまう時点ですでに金銭感覚が麻痺している証拠である。)

この馬の成績は現在7戦4勝、2着1回、3着1回、掲示板を外したのは芝で走った時の1回のみと優秀である。1億円を超える取引価格の馬でも1勝もせずに引退する馬だっているのだから大健闘していると言えるだろう。

先月大井競馬場で開催されたジャパンダートダービー(7/8、G1、大井ダ2000m)では2着に入着し、2走前の園田競馬場の兵庫チャンピオンシップ(5/6、G2、園田ダ1870m)では2着馬に9馬身差という差をつけ完勝した。地方ダートとは言えこれだけ格の違いを見せたのだから今後の活躍に期待せざるを得ない。

次走は新潟で開催されるレパードS(8/9、G3、新潟ダ1800m)に出走する予定だ。近2走は地方のダートで活躍したが今回は中央の重賞戦となる。メンバーのレベルは上がるし地方の重いダートから中央に変わって馬場の感覚も変わるだろう。

しかし、アドマイヤオーラ産駒という血統的にもあまり注目がされないこの馬が期待以上の成績を残せてこれたのはこの馬に実力があったからであり、その実力は血統やセリの取引価格では測れないものである。新馬戦→条件戦→OP戦→地方重賞と地道に勝ち上がって強くなってきたのだ。

デビューしてから約1年間全てのレースで手綱を握ってきた岩田康誠騎手もこの馬には思うところがあるかもしれない。岩田騎手は腕一本で渡り歩いてきた地方出身の騎手で、まさにこの馬には打ってつけの騎手だと言えるだろう。

中央で初の重賞戦となる新潟のレパードSだが、果たしてこの馬の栄光への門出となるだろうか?