不満が噴出した2018年の凱旋門賞、フランスギャロが今年は改善を約束

フランスの競馬統括機関「France Galop(フランスギャロ)」の幹部が15日、昨年の凱旋門賞で多数のファンから不満が寄せられていることを踏まえ、改善点を発表した。

凱旋門賞は例年ロンシャン競馬場で行われていたが、改修工事のため2016~2017年はシャンティイ競馬場で開催されていた。そのロンシャン競馬場が昨年ようやく改修工事を終えパリロンシャン競馬場として生まれ変わった。昨年は3年ぶりのパリロンシャン競馬場での開催ということでさぞかし盛り上がったように思えたが、前回ロンシャン競馬場で施行された2015年凱旋門賞開催日の入場者数が5万2,000人だったのに対し、2018年の入場者数は3万5,000人にとどまった。

それだけでなく「馬券窓口が長蛇の列で馬券が買えなかった」、「トイレも長蛇の列」、「飲食類の売り切れ」といった多くの問題が浮上し、批判が多く集まった。凱旋門賞はイギリスやアイルランドなど遠方から多くの人々が観戦しにやってくるが、「二度と行かない」といった意見がTwitterやFacebookなどのSNS上で多く飛び交ったことで、フランスギャロも深刻な問題として捉えたようだ。

「入場料の価格」についても多くの批判が集まった。凱旋門賞は昨年から一般入場券を75ユーロ(約9,750円)とし、150%の値上がりを発表した。以下は近5年の凱旋門賞の一般入場券の価格だ。

凱旋門賞の近5年の一般入場料の価格

  • 2013年 10ユーロ(1,300円)
  • 2014年 20ユーロ(2,600円)
  • 2015年 20ユーロ(2,600円)
  • 2016年 30ユーロ(3,900円)
  • 2017年 30ユーロ(3,900円)
  • 2018年 75ユーロ(9,750円)

2009年は入場料が8ユーロ(1,040円)で女性については帽子着用であれば無料で入場できるなど、リーズナブルな価格設定やサービスが展開されていたが、近年は毎年のように入場料が値上がりしていた。

しかし、それでも実際にチケットはほぼ完売しており、2015年にロンシャン競馬場で行われた凱旋門賞の時の2倍以上の売れ行きだった。今回はこれまでで最大となる150%アップという大幅値上げをしたにも関わらず、サービスの質が落ちるという目も当てられない状態となってしまったことが批判が多く集まってしまった原因と言えよう。

これについてフランスギャロのCEOであるOlivier Delloye氏は「ここ2年シャンティイ競馬場で開催していたことで、本来はイギリス人が多く入場することや、イギリス人の方が多く馬券を購入すること、また、イギリス人の方が多く飲み物を飲むということを忘れておりました。我々は基本的なサービスが足りなかったのです。」と語り、見込んでいたイギリス人の客の数を見誤っていた点を指摘した。

また、マーケティングディレクターであるFabrice Favetto Bon氏は「昨年の343店に対し、今年は400店の販売店を持ちます。さらに、キオスクも増やし、スタッフも増員します。100以上のバーを設置し、レストランやトイレも30%増加します。イギリスファンの信頼を取り戻したいと思います。」と述べ、改善策を示した。

今年はイギリスの名馬エネイブルが同競走3連覇を狙って参戦する。イギリスファンにとっても多くの注目が集まる一戦なだけに、改善を求めるファンも多いだろう。