1冠目の1600mにて行われる桜花賞や2000mの秋華賞と違って、3歳牝馬にとって過酷とも言える2400m。多くの馬がこの距離に苦しめられ、3冠の夢を破られてきたレースである。近年で言えば、ハープスターやアユサン、マルセリーナもその例で、後者2頭に関しては馬券にも絡まない4着に屈している。また、逆に言うと、1600mよりも長距離向きの馬にとっては最高の舞台で、メイショウマンボやルージュバック、エリンコートはその例であろう。ただ、今年は桜花賞馬のジュエラー離脱でやや盛り上がりに欠けるレースとなった。その為、例年以上に混戦と捉えることも可能で、力のない馬でも距離の面で力を補える可能性がある。よって、今回は特に距離適性に着目してそれぞれの馬をジャッジしていきたい。そして、特に人気に支持される馬にピックアップし、実力問わず辛口にてバッサリ切りたいと思っているので、ぜひ参考にして頂きたい。
まず、今回のレースで注目すべき馬は以下の4頭であろう。①シンハライト(池添)、②チェッキーノ(戸崎)、③エンジェルフェイス(ルメール)、④ジェラシー(横山典)である。
最初の、①シンハライトは前走の桜花賞こそジュエラー相手に僅かの差で敗れてしまったが、チューリップ賞では撃破。自在性も兼ね備えている馬で、大きく崩れる可能性が低いことを考えれば、今回も上位進出の可能性は非常に高い。次に、②チェッキーノは前走のフローラSでは後続勢を突き放す内容で、3連勝で勢いに乗る馬。ローテーションも最高で、ノリに乗る戸崎騎手騎乗も注目ポイントである。そして、③エンジェルフェイスは前走のフラワーCで逃げ切り。今回は2ヶ月の休養明けとなるが、底を見せていない面を考えると、要注意の1頭と言える。最後の、④ジェラシーは前走の勝利で1枠しかない権利を獲得。先行力のある競馬は武器で、ハービンジャー産駒期待の1頭である。
さて、ここからは各馬の距離適性を順に見ていきたい。基本的に距離を見抜く観点は以下の3点あるだろう。①馬体②血統③走法である。ただ、血統と馬体は通ずる部分が大きいので、大まかに言えば①と②はセットで、③は独立した形である。そして、今回以上の3つの観点から見て最も2400mへの距離適性があるのは①シンハライトである。走法を見ても分かるように、トビが非常に大きいタイプで、エンジンが掛かるまでに時間を要する。ゆえに、阪神の外回り1600mでもエンジンが掛かり切っていない印象で、距離延長はプラス。前走以上のパフォーマンスが期待できるだろう。
一方で、最も距離が持たないのは④ジェラシーである。折り合い面に不安があることも含めてであるが、馬体の観点から見ると完全に1600m辺りがベスト。体全体のロスも大きく、途中でバッタリ止まってしまう可能性が非常に高い。また、今回の登録馬で同じくバッタリ止まりそうなのが、レッドアヴァンセやアドマイヤリード、フロムマイハートである。上記の馬は正直言って厳しい戦いとなるであろう。
注目のチェッキーノやエンジェルフェイスの距離適性は?!
残りの、②チェッキーノや③エンジェルフェイスは2400mもこなせるタイプではある。しかし、プラスに働くとは言えないのも事実なので、評価が難しい。また、今回のオークスで距離延長によって恩恵をうけるのは、①シンハライト以外ではゲッカコウやデンコウアンジュ辺りしかいない。ゆえに、10頭以上がギリギリこなせる当落線上にいるので、最終的には実力が結果に反映するレースとなるに違いないだろう。
以上、距離適性にピックアップし、オークスについて簡単に取り上げた。何度も繰り返しとなるが、基本的には①シンハライトが圧倒的有利なレースとなりそうで、正直このメンバーでは逆らいようがないのが本心である。ただ、ゲッカコウやデンコウアンジュを含めて注目されていない穴馬や、人気上位に予想される馬にもバッサリ切れる馬がいることも事実である。今回は相手探しが最も重要なポイントとなるが、狙っている穴馬も多いので、予想にはぜひ注目して頂きたい。