2走前の函館スプリントSから1200mへとシフトしてきたタワーオブロンドン。主戦のルメール騎手は朝日杯FSの頃から「マイルは長すぎる」、「1200mで乗りたい」と語っており、4歳夏にようやく適性が試されることとなった。
1200m初挑戦となった2走前の函館スプリントSは、レーン騎手とのコンビで勝ち馬から0.2秒差の3着とまずまずの結果を残したが、同レースは薬物問題で有力視されていた馬が除外となった7頭立てのレース。3着とは言えレース自体があまりレベルの高いものではなかったため、適性距離であるかどうかについてはこの時点ではまだハッキリせず、むしろこのメンバーと頭数で3着では逆に不安が残ると感じたファンも少なくないだろう。
そして前走のキーンランドCではかねてから1200mで乗りたかったルメール騎手に手綱が戻り、2着に善戦した。ロスなく回ってきたこともあるが、勝ったダノンスマッシュの上がりを0.4秒上回り、斤量もダノンスマッシュより1キロ重い58kgを背負ってのもので、前走以上の内容は示せた。ただ、前がバテて落ちてきてくれたことや、馬場が重たくなっていたことなどもあり、展開が向いたとも見て取れる内容。スタートで躓いたり、序盤は苦労しているところが見受けられたことからも、やはり1200mが適性距離かどうかはここでも疑問符が付く結果となった。
そして来る3戦目の1200m戦「セントウルS」。中1週での参戦となるが、スプリンターズSへ行くならこのローテーションはかなり酷。余裕のあるローテーションを組むことが多い藤沢厩舎としては珍しいローテーションであることからも、おそらくはサマースプリントシリーズのタイトルを狙っての参戦だと思われる。現時点で同馬より上位にランクインしているカイザーメランジェやダイメイプリンセスも出走するため、この2頭が大きく負けない限りシリーズ優勝には勝つしか道は残されていない。
今回は洋芝ではなく野芝の阪神コースで、馬場も開幕週で軽めが予想される。残暑が厳しい中で長距離輸送もあり、不安材料は少なくない。メンバー的に1番人気となる可能性が高いだけに、過度に信頼してしまうのは危険にも思える。
とは言え、近2戦では58kgを背負っていたが、ここでは1kg減の57kgとなる点は好材料だし、開幕週の馬場が不安な点はダイメイプリンセスやアンヴァルといった有力馬にとっても同じことで、ミスターメロディもスプリンターズSの叩きと考えると他の人気上位勢の信頼度もそこまで高いわけではない。ここの本気度が高いタワーオブロンドンなら、チャンスは十分あると考えても良いだろう。
それなりに不安要素がある人気馬で、配当妙味もないだけに消せば馬券の組み立ても楽になりそうだが、消すにしてもそれなりの根拠と勇気が必要そうだ。