春のマイル王者決定戦である安田記念。昨年は12番人気のクラレントが3着に絡んだ影響で、三連単12万馬券と波乱が起きた。しかし、今年は昨年の覇者モーリスや前走のドバイターフでG1制覇を飾ったリアルスティールなどの出走で、非常に楽しみなメンバーが揃ったが、上位2頭は盤石の態勢が整った印象を受ける。また、京王杯SCを勝利したサトノアラジンやAJCCで強さを見せたディサイファ、皐月賞馬のイスラボニータやロゴタイプなど脇役も豪華で、現時点において昨年のような波乱の演出を期待できる馬はいない。そして、今回最大の注目馬と言えば、香港馬コンテントメントであろう。今年の2月にクイーンズシルヴァージュビリーCで香港G1を圧勝。また、前走のチャンピオンズマイルこそモーリスに敗れての2着であったが、日本競馬への適性次第では十二分にチャンスがありそうで、穴人気が予想される。
さて、今回は題名にも記した通り、香港馬コンテントメント1頭に注目した上で、このコラム内で取捨選択をハッキリさせたいと考えている。ぜひ、注意して読んで頂きたい。
まず、コンテントメントの最大の武器は先行力を生かした競馬である。前走も3番手のインから抜け出す形での競馬で、器用さも兼ね備えたタイプと言える。さらに、昨年の香港マイルでも2番手から運ぶレース内容で、今回の安田記念に出走予定のフィエロや富士Sでサトノアラジンを破ったダノンプラチナに先着している程の実力の持ち主である。また、何と言っても鞍上のプレブル騎手は安田記念に6度目の騎乗で、2006年のブリッシュラックでは同レースを制覇。東京競馬場に乗り慣れた騎手で、海外遠征のハンデは最小限に抑えていると言えるだろう。そして、調教もそもそも強めにやらないタイプの馬で、中間は軽めの追い切りであったが、輸送自体も問題なく体調面の不安もなさそうである。
コンテントメントの取捨選択は?!
ここからはコンテントメントの取捨選択について話していきたい。先ほど昨年の香港マイルでフィエロとダノンプラチナに先着したと書いたが、実力面ではやや劣る印象である。そもそも、香港はスローペースからの直線上がり勝負が主流で、圧倒的に先行馬有利の競馬が多い。ゆえに、先行力のあるこの馬向きのレースが多く、実際に香港マイルやチャンピオンズマイルも先行馬にとって楽な展開であった。その中で、モーリスに0.4秒の差を付けられ、アウェーの舞台で後ろからの競馬、直線の不利があった中で敗れたフィエロとダノンプラチナとほぼ着差がなかったことを考えれば、日本のアウェーの地での競馬では相当厳しい戦いが予想されるだろう。しかし、1点この馬にとって朗報と言えば、逃げ馬不在のメンバー構成で、楽に先行できる舞台が整ったこと。よって、力を出し切れさえすれば、展開と馬場の恩恵を受けて3着であれば馬券に絡む可能性は0ではない。三連系の馬券を買う場合のみ、最後の最後で押さえたい1頭までの評価で問題ないだろう。
以上、安田記念に出走する香港馬・コンテントメントに着目して取り上げた。やはり、日本と香港で無類の強さを見せるモーリスやドバイで勝利したリアルスティール中心の競馬となりそうで、コンテントメントと同様に他の日本馬も苦戦が予想される。さらに、頭数がどんどん減る形で最終的には12頭と、やや寂しいメンバー構成であることも事実である。これは、如何に他のマイル路線組がモーリス相手に勝ち目がないと踏んでいる証拠とも言えるだろう。ぜひ、読者の方には馬券ももちろんであるが、中距離路線でG1級のリアルスティールとマイル最強馬モーリスの熾烈な叩き合いを期待して頂きたい。