「長距離戦は騎手で買え」という競馬の格言があるように、馬とのコンタクトが非常に重要なファクターとなる長距離戦。折り合いを付けるのが上手い騎手が重宝される一戦なだけに、“平成の盾男”武豊騎手と菊花賞馬キセキの初コンビを楽しみにしているファンは少なくないはずだろう。
前走の阪神大賞典と2走前の有馬記念で出遅れてしまい、人気を大幅に下回る順位に敗れてしまったキセキ。4歳までは出遅れが目立っていたが、5歳になってからはそれも無くなりスムーズなスタートをきれていた。しかし、凱旋門賞から帰国後は2戦連続で出遅れており、悪い癖が再発した。
個人的にスタートが上手いと思う騎手は2人。福永祐一騎手と武豊騎手だ。
両騎手は当たりの柔らかい騎乗スタイルで、馬とのコンタクトのとり方が非常に上手い騎手であると感じる。とくに武豊騎手は出遅れても臨機応変にそれなりの競馬が出来る騎手で、スタート後の競馬も加味するなら福永騎手よりも武豊騎手の方が評価できると言えよう。
今のキセキに一番乗ってもらいたい騎手は誰か?と考えた時、やはり天皇賞春という舞台を考えても盾男の武豊騎手が最適である。先程は武豊騎手を「スタートが上手いと思う騎手」と説明したが、「逃げ・先行が上手い騎手」と言った方がしっくりくる。この手の馬を上手に乗る騎手で、逃げた時のペース配分は他の騎手には真似のできないものがある。
とは言え、逃げれば勝てるという保証はないのも事実。実際キセキは逃げて勝ちきったことはなく、勝ったレースは全て差す競馬だ。逃げずに差しに回ったとしても、有馬記念ではフィエールマンと首差までの競馬を展開しているように、スピードの持続力があるので差す競馬でもやれないことはない。
徹底して折り合い重視の末脚勝負という選択もある中で、どういった選択をしていくのかは騎手の手腕が問われるところ。逃げなくてもチャンスを作れるかどうかが重要となるが、その点においてもやはり臨機応変な競馬ができる武豊騎手は心強い。角居調教師も「指示するジョッキーじゃない。ユタカマジックに期待します」とコメントしており全面的な信頼を置いている。
個人的にはこれまで手綱を握ってきた川田騎手の方が一騎手としては信頼度は高いが、ことキセキに関しては間違いなくこの乗り替わりはプラスになると判断し、好勝負を期待する。