例年決して高いレベルの馬が出走する訳でもないが、必ず穴馬が1頭馬券に絡み中波乱が続いている同レース。また、近5年は1番人気が全て3着以内で、上位人気馬の信頼度は非常に高いレースと言える。ただ、過去に北海道シリーズを経験していない馬も多く出走し、フルゲート14頭立てと少頭数ながらも取捨選択に非常に頭を悩ませる一戦でもある。したがって、今回はチェッキーノを例にとって初めて北海道シリーズを経験する馬の取捨選択する方法を述べていきたいと考えている。しかし、これはあくまでも筆者が困った時に使う方法で、全てに当てはまるとは言えない。ただし、参考程度にはなると思うので、ぜひ読者の方にも困った時の手段の一つとして覚えておいていただきたい。もちろん、過去のレースも例に挙げながら詳しく解説していこうと思う。
まず、函館競馬場と札幌競馬場における主な調教手段としては、「Wコース」と「Dコース」、「芝コース」の3種類がある。もちろん競馬場での調教となるので、トレーニングセンターよりも種類が少ないのは致し方ないことである。そして、その中で最も使用されるのは「Wコース」だ。栗東と美浦でも多くの馬が調教し、折り合いを重点にした終い重視の調教が行われている。ただ、上記2つの競馬場での調教は普段滅多に行われない「芝コース」での調教を目にすることが多い。例えば、今回のクイーンS出走馬で見ると①ウインプリメーラ(福永騎手)と②チェッキーノ(戸崎騎手)、③テルメディカラカラ(ルメール騎手)、④レッドリヴェール(ティータン騎手)が芝コースでの追い切りを消化している。
もちろん、過去に洋芝を走った経験のある馬は参考にする必要性はないが、走った経験のない馬は調教で適性を把握することが可能だ。例えば、2週前の函館記念に出走したファントムライトは15着に敗れてしまったが、直前の芝コースでの追い切りにおいて、何と新馬に遅れる調教であった。また、時計も全体時計が69秒台で終い3Fが37秒、最後1Fが11.8秒で、手応えも非常に良くなかったことを考えれば適性がないと言える動きであった。一方で、2週前の未勝利戦で穴をあけたアドルナメンテは芝コースの追い切りで、函館記念に出走したオツウに馬なりにも関わらず余裕の先着。オツウが北村友一騎手騎乗で一杯に追っての内容を考えると、北海道シリーズで一変しても当然である。これは洋芝に適性があった例の一つと言えるだろう。
クイーンS出走馬は?!人気馬チェッキーノの気になる調教は?
では、今回のレースに出走する初北海道シリーズ組を見てみよう。もちろん、調教映像を見なければ手応えなどが分からないので、全てを把握することは不可能である。その点だけは気を付けていただきたい。(上記の例は映像を見た上での判断)先ほど取り上げた②チェッキーノは21日に札幌の芝コースで5F67秒台で3F38秒、終い1F12秒台の時計で調教を行っている。馬なり主体の藤沢厩舎なので、時計だけで全てを判断するのは良くないが、新馬にクビ差遅れての追い切りを考えると決して良いとは言えない。一方で、①ウインプリメーラは20日に一杯ながら5F62秒台の猛時計、③テルメディカラカラも20日に3F38秒台で終い1Fは12秒フラットに近い時計を出しており、④レッドリヴェールも3F36秒台の時計が出ている。
したがって、初の北海道シリーズでのレースにも関わらず、オークス2着の実績だけを見て過剰に評価する点は良くないと考えられる。しかし、3歳馬である以上52キロと、古馬に比べて3キロ軽い点は確実にプラスに働くので、開幕週の差し脚質とのバランスを考えてどう取るかであろう。一方で、猛時計を叩き出した①ウインプリメーラは過去に一度北海道シリーズで敗れているが、その時は度外視可能なレースであった。先週の中京記念で重賞制覇した福永騎手が乗りに来る点を考えても、決して侮れない1頭と言えそうだ。
以上、初北海道シリーズ組の洋芝適性の見方を簡単に説明した。あくまでもこの方法は参考程度にしかならないので、すべて鵜呑みにするのは危険であると言える。しかし、実際のレースで走るコースでの追い切りである以上、最低限の時計や相手に先着しなければ本番でも良い時計で走れる訳がないのも事実である。ぜひ、読者の方にも以上の方法を参考にしていただいた上で、実際に最終追い切りの映像で手応えなどを確認し、使っていただければと考えている。