秋のG1戦線の幕開けの一戦となるスプリンターズS。昨年は牝馬で1番人気のストレイトガールが勝利したが、2着は11番人気のサクラゴスペルが好走し大波乱を呼び込むレースとなった。そして、今年はハクサンムーンとストレイトガールが引退し、春の高松宮記念で1, 2着のビッグアーサーとミッキーアイルが参戦。新時代の到来が期待できるレースになりそうで、今から非常に楽しみである。したがって、今回は有力馬6頭の1週前追い切りの動きに注目し、現時点での出来と来週の最終追い切りを見る上で注意すべき点をそれぞれ解説しながら1頭ずつ丁寧に見ていきたいと思う。ぜひ、読者の方で普段調教に関心のない方や見方が分からない人も下記の内容を把握した上で、来週の予想に生かして頂ければと考えている。
まず、今回のレースで注目される馬は以下の3頭であろう。①ビッグアーサー(福永騎手)と②ミッキーアイル(松山騎手)、③ダンスディレクター(浜中騎手)である。
まず、前走のセントウルSで久々のレースながら完勝だった①ビッグアーサー。栗東の坂路で53.0-37.7-23.9-12.2(一杯)で追われ、この馬らしい良い動きを見せた。ただ、やはり調教でも折り合い面にやや不安があることも確か。とは言っても、叩いた上積みを感じさせる内容で、前走の反動は無さそうなので現時点では及第点の評価を与えたい。おそらく来週は輸送を考慮し、流す形になるだろうが全く問題ないだろう。また、③ダンスディレクターに関しても前走は完全に叩き台であった。1回使って順調に進められており、次回は更に良い動きを披露できるだろう。
ミッキーアイルの調教は?1週前追い切りの動きを見る限りでは物足りない?!
一方で、心配なのが②ミッキーアイルである。1週前追い切りは栗東坂路で52.1-38.0-25.2-13.1(一杯)であった。確かに全体時計だけ見れば決して悪くは見えないが、元々調教では好時計を叩き出すタイプ。今回は併せたブラックスピネルに劣る追い切りで、最後1Fはバッタリ止まった印象まであった。残り1〜2回追い切りを消化できるが、やはり6ヶ月のブランクが相当レースに影響しそうである。残り1週でどれほど体調が戻ってくるか注目したい。
そして、他の注目馬として取り上げられるのは、3歳馬の①シュウジ(川田騎手)とキーンランドCを制覇した②ブランボヌール(武豊騎手)、CBC賞で素晴らしい末脚を見せたレッドファルクス(Mデムーロ騎手)である。
上記の中で言えば、①シュウジと②ブランボヌールはどちらも休み明けを使った上積みがありそう。特に前者はもともと調教で抜群の動きを見せるため、今週も坂路で52秒台をマーク。1200m戦に戻って2着2回と好走が続いているだけに、侮れない存在となりそうだ。一方で、③レッドファルクスは3ヶ月の休み明けでのレース。しかし、今週は外から内にいる2頭を抜き去る追い切りで、負荷も十分に掛かっている印象。ミッキーアイルとは違い、休養明けにしては順調に調教を消化している。
以上、スプリンターズSの1週前追い切りについて上位人気が予想される馬を中心に順に追って解説した。やはり、ビッグアーサーやダンスディレクター、シュウジなど休み明けを使ってきている馬は順調に仕上がっている印象で、100%の出来でレースに挑めそう。ただ、上記で説明したようにミッキーアイルについては心配な要素が残っている。ぜひ、読者の方にはミッキーアイルの最終追い切りには注視して頂いた上で、出走予定馬16頭の調教をチェックして欲しいと考えている。