今週日曜の東京メインレースは毎日王冠(G2)。秋のG1戦線につながる重要な一戦で、開幕週の東京を盛り上げる1800m戦だ。3月のドバイターフを制したリアルスティールの秋初戦ということで注目度の高い一戦となりそうである。
実績的にはナンバーワンのリアルスティールは重賞を9戦中6戦連対している抜群の安定感を持つ馬。しかし前走の安田記念は11着と大敗するなど、前向き過ぎる気性と何かと難しい馬でもある。そんなリアルスティールの今回の鞍上はM.デムーロ騎手で決まりそうで、新コンビで挑むという点は見どころの一つとなっている。
M.デムーロ騎手との新コンビに期待!2週連続重賞制覇なるか?
前走の安田記念では、ドバイの前まで主戦騎手を務めた福永騎手に手綱が戻るも、結果は11着と惨敗。前走は騎乗に問題があったというより、レース選択や仕上がりの悪さが目立っての敗退という印象の方が強い一戦。
前走は騎乗云々の前に馬に問題があったのは事実。しかし同じ騎手を乗せておく理由もない。ドバイでR.ムーア騎手を選んだことからもレースを勝てる確立が高い騎手を選ぶことは陣営としては当然。
乗り替わり予定であるデムーロ騎手は先週のスプリンターズSで3番人気のレッドファルクスを勝利に導きG1制覇を果たした。勢いのあるデムーロ騎手に依頼するのは陣営として当然の判断で、気性の問題がある馬を得意とすることで有名な彼を選んだことは英断だ。昨年末に4週連続重賞Vという偉業を果たしているデムーロ騎手なら、2週連続重賞Vも容易そうだ。
「(馬を)抑えられない」「馬は最終的には人」。同期の細江純子氏からも厳しく言及される福永騎手
スプリンターズSで圧倒的1番人気に推されたビッグアーサー×福永コンビ。結果は12着と惨敗。前哨戦のセントウルSでまさかの逃げ切りVを見せたが、これについて福永騎手の同期でもあり競馬評論家でもある細江純子氏が以下のような厳しいコメントを述べている。
「スプリンターズSの前哨戦と考えると、中4週ですし、繋がるかと考えると…決して、どうなのかなって私は感じます。結局抑えられなかった。抑えようと思ったけどスノードラゴンの影響もあって(抑えられなかった)。」
[「みんなのKEIBA(フジテレビ系)」 セントウルステークスレース直後のコメント]
細江氏はリアルスティールがムーア騎手でドバイで優勝した際も、これまで手綱を握っていた主戦騎手の福永騎手を批判するとも言える内容のコメントを残している。
「ドバイ中継を見ていて1番感じたことは、今までもそうだと思って競馬を見てきましたが、『馬は最終的には人である』ということを再確認するものでした。 自分の考えを述べすぎると批難批評と誤解を生じてしまう危険性もあるので深くは書きませんが、馬は正直な生き物であり、大事なことは携わる人がどう理解し、対応し、接し、騎乗するか、なのでしょう。」
[「ドバイ中継を見ていて感じたこと、そして今週」より引用 http://news.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=33379]
的確な解説することでも人気な解説者、さらに同期でもある細江氏に勝てたことは騎手の技量による部分が大きいという内容のコメントをされては面目も丸つぶれだ。ただ彼女のコメントはやはり的確。馬は最終的には人であるとはまさにその通りで、ドバイの最後の直線を駆け抜けるリアルスティールの走りは胸を熱くさせるものであり「手綱を握る人が変わるだけで走りはこうも変わるのか?!」と筆者もレースを見て驚いた。
先でも記したように、デムーロ騎手は気性難の馬の扱いが非常に上手く、昨年のドゥラメンテ然り、ネオユニヴァースやジュエラーといった難しい馬で功績を残してきている。かかる気性の持ち主であるリアルスティールとの新コンビは非常に楽しみで「デムーロなら」と期待感がわく。元主戦騎手で過去に毎日王冠を4勝もしている毎日王冠の現役最多勝ジョッキーの福永騎手よりも、テン乗りのデムーロ騎手の方が信頼できるというのはなんとも皮肉な話である。
昨年の落馬負傷による戦線離脱のせいもあってか、今年は強力なお手馬が揃っていない福永騎手。コンビを組んでいた強馬も奪われていく中で、今後の中距離G1候補の馬も確保していけるのかにも注目だ。