【JRA天皇賞春】史上初の3世代春盾制覇なるか?横山一族、悲願へ

競馬業界には家族のほとんどが競馬に携わっている競馬一家は珍しくないが、父と息子3人が現役騎手の木幡一族、父と息子2人が現役騎手の横山一族は業界の中でも稀に見る生粋の競馬一家だ。とくに横山家は父・横山典弘騎手の妻の弟が調教師の菊沢隆徳師ということで、競馬界の中で一つの大きな競馬ファミリーを築いていると言っても良い。

今週の天皇賞春ではその横山ファミリーの4名の騎手が一堂に会する。父・典弘はオセアグレイト、長男・和生がジャコマル、三男・武史がウインマリリンに騎乗予定となっている。G1で親子3人の騎手が同時騎乗するのは初めてのケースとなる。

父・典弘は過去に三度、天皇賞春を制しており、今年は四度目Vがかかっている。騎手の腕が大きく問われる長距離戦ということで、ここはベテランの腕前を見せて息子たちにも威厳を示したいところだが、最近は父よりも三男の武史騎手の活躍が目立つ。

横山武史騎手は、昨年ウインマリリンでフローラSを制し、デビュー4年目で重賞初制覇を達成。4年目での重賞初Vは決して珍しくはないが、今年に入ってからはさらに勢いが増し、エフフォーリアで共同通信杯を制すと、弥生賞をタイトルホルダーで、日経賞をウインマリリンで制し、皐月賞をエフフォーリアで快勝しトントン拍子でG1初制覇を達成。すでに上半期で重賞4勝と飛ぶ鳥を落とす勢いで勝ち星を積み重ねていっている。

今回、武史騎手が騎乗のウインマリリンについても、実績的には父のオセアグレイト、長男のジャコマルよりも上だ。2500mの日経賞・1着、2400mのオークス・2着という実績からも、長距離適性の高さも折り紙付きということで、期待度はウインマリリンがトップと言ってだろう。

父・典弘と長男・和生は今年重賞未勝利。父と兄が不調を三男が補う。騎手と騎手との勝負において血縁関係は無用とも言えるかもしれないが、家族が互いに支え合うという意味では、理想的な形かもしれない。

横山典弘の父である横山富雄もJRAの元騎手であり、1971年の天皇賞春をメジロムサシを快勝。今回横山武史騎手が同レースを勝てば、前代未聞の横山家3世代での春盾制覇となる。祖父と父の背中を追って入った世界、偉業達成の瞬間を迎えることができるのか。新たなドラマを期待したい。