和製ラムタラといわれたフサイチコンコルド。とにかく体質が弱い馬でダービー当日も回避するかもしれない体調での参戦でした。藤田騎手も半信半疑だったようで「豊さんについていけばいいや」くらいの気持ちで乗っていたそうで、最後まで勝てるとは思っていなかったそうです。
武豊騎手のダンスインザダークを一瞬で差し切ったレースはいまでも印象に残っています。「音速の末脚が炸裂する!」の実況も素晴らしかった。
また、シルクの勝負服が似合っていたのもまた藤田騎手。シルクプリマドンナのオークス。シルクジャスティスの有馬記念。1番人気で活躍する騎手、というよりは、何かやりそうな騎手というイメージがわたしにはあります。
そんな藤田騎手が9月6日付けで電撃引退の発表をしました。UMAJINに掲載された直筆の手紙のを見た印象だと、以前から不満に思っていたことが改めて綴られたように見られます。武豊騎手もアオリを受けたと思われる「エージェント制度」。エージェントの腕次第で騎乗馬が集中してしまう弊害について訴えています。
馬券を買う側からすると、今年の夏に関していえばですが、岩田・デムーロから買っていればほぼ馬券は当たりでした。つまらないといえばつまらないですが、彼らも腕があるジョッキー。あながちエージェント制度のみの恩恵を受けているわけではないでしょう。
藤田騎手といえばやはり「フェアプレー」が印象的。関西では菱田騎手、関東では以前は丸山騎手がやたら制裁を受けていた印象がありますが、藤田騎手ほど長くやっていて制裁が少ないのはそれだけで偉業ではないかと思います。
最近は騎乗馬が少ない、と思っていたんですが、電撃引退は藤田騎手らしいとも言えます。JRAの中で仕事をするより、外に出て仕事をしたいといったニュアンスでしたので、逆にわたしたちの前に出て話したりといった機会が増えてくるかもしれません。
お疲れ様、というにはまだ若い気もします。日本では「ぼろぼろになるまで現役にしがみつく」といった美学もありますが、「体力・気力はまだあるけれど、やりきったから辞める!」といったさわやかに辞める姿もステキだなと感じたニュースでした。
今後はOn The Bitプロデュースで、競馬ファンに恩返しをしていく予定とのこと。新たな門出を祝うとともに、どこかで出逢えることを楽しみに待ちたいと思います。