【フォワ賞2018】クリンチャー、新装パリロンシャン競馬場への適性十分

武豊騎手の4000勝達成まで残り5勝となりましたが、今週末はフランスのフォワ賞(9月16日、G2、パリロンシャン競馬場・芝2400m)でクリンチャーに、パン賞(9月16日、パリロンシャン競馬場・芝1400m)でジェニアルに騎乗で渡仏するため、記録達成は帰国後の22日以降となりそうです。

凱旋門賞3着の実績があるサラフィナを母に持つジェニアルのフランスでの活躍には期待したいところですが、やはり一番気になるのは10月7日に行われる凱旋門賞を目指すクリンチャーでしょう。今年は凱旋門賞へ挑戦する唯一の日本馬ということで、日本中の期待と応援を一身に背負っての参戦ということになります。

新装パリロンシャン競馬場で2年ぶりの開催。変わった点は?

今年の凱旋門賞ですが、去年と一昨年はロンシャン競馬場が改装のためシャンティイ競馬場での開催でしたが、4月に新装オープンし、名称もパリロンシャン競馬場に変わり2年ぶりの開催となります。

スタンドやレストランなどがキレイになったと評判ですが、肝心の馬場はデコボコで堅くて滑るといった状態だったようで、仏現地の競馬紙パリテュルフ(Paris Turf)紙は改装後の馬場の評価については「10点満点中1点」となかなか辛辣な評価を下しております。春にはあまりに馬場の状態が悪いので、ジョッキー達が主催者側に抗議し、その後の開催でコースが中回りから外回りコースに変更されるといったトラブルもあったほどでした。

ただ、夏場の開催休止期間の間にメンテナンスを行ったようで、改善されたもようです。実際、今月2日から始まった秋開催以降は現地メディアでもそういった否定的な意見は取り上げられておりませんでしたので、馬場は春よりも良い状態になっているかと思われます。

クリンチャーは8月23日にすでに渡仏を果たしており、現地で調整が進められております。同馬を管理する宮本調教師のコメントによると、パリロンシャン競馬場の馬場は芝がかなり短く刈り込んであり、時計が出そうなイメージということですので、トゥーレル賞やパン賞、フォワ賞でしっかりと見ておきたいと思います。以下は宮本師のコメント(東スポより)。

「ロンシャンの芝コースを実際に歩いてみたけど、かなり短く刈り込んでいて時計が出そうな感じ。メチャクチャ力のいる馬場には見えなかったけど、現地の人の話では(芝が)根深くてやはり走らせるとパワーが必要みたい。」

現地では嫌われる高速馬場も日本馬にとっては馴染みの馬場ですし、泥んこ馬場の菊花賞で2着だったクリンチャーなら重たい馬場も問題なしです。この時期のロンシャンは雨に見舞われることも多いですが、馬場に幅広く対応できる強みがあるのは心強いです。

さらに、新しいパリロンシャン競馬場で馬場以外に気になっているのが、オープンストレッチの設置です。直線の入り口あたりからインコースに広く進路が開け、馬群が横に広がってバラけることで出走各馬の進路をフェアに確保する目的で春から導入されたオープンストレッチですが、これについても賛否両論あったようですね。

ただ、英国のニューマーケット競馬場やアスコット競馬場の一部開催などではすでに導入済みで、直線では各馬が伸び伸びと走れることからもジョッキーからは好意的な声が多いようです。ということで、凱旋門賞当日は仮柵なし、オープンストレッチは内から6mの位置で施行し、フォワ賞など一連の前哨戦が行われる今月16日も同様となる予定です。こちらもしっかりとチェックしておきたいと思います。

クリンチャーの持ち味は何と言っても後半要素。瞬発力よりも息の長い末脚を武器とするタイプなので、20頭以上出走する時もある凱旋門賞で包まれたりしないかが心配です。前哨戦のフォワ賞は毎年頭数が少ないのでそういった心配はありませんが、本番では頭数も増えると思うので、オープンストレッチがプラスに作用してくれれば良いですね。

兎にも角にも、まずは前哨戦のフォワ賞で本番を期待させる走りを見せてほしいところです。新しくなったパリロンシャン競馬場で行われる記念すべき第1回目の凱旋門賞は、ぜひとも日本馬クリンチャーに勝利を飾っていただきたいですね。