JRAの入場完全再開はいつなのか?「新しい競馬のあり方」は生まれるのか?

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JRAの理念にも「要望に応えて多種多様なサービスを実施」「競馬そのものの魅力の向上」とあるように、ファンあっての競馬、ファンのための競馬というのは理念としてありそうですが、JRAには勝ち馬投票券の売り上げの1割と、運営利益の半分を国庫納付金として国に納めるという大きな役割もあります。農林水産省の管轄に置かれ、貴重な財源を生み日本経済を支えるという大変重要な役割です。

売上についてはネットでの馬券発売によってある程度安定した財源を確保することが可能となっており、新型コロナウィルスの影響で昨年時よりも落ちていますが、微減に留めることが出来ています。開催自体の中止や馬券の発売自体が中止されない限り「財源を確保する」という事については許容範囲内に役割を果たせることが出来ていると見て良いかもしれません。

となれば今JRAが問われているのは、財源確保という一部の役割ではなく、もっと大雑把な「社会的意義」ではないでしょうか。数百万いると言われる競馬ファンの人口を考えれば多大な影響を及ぼせる立場にあるのは明確です。入場を完全に再開させないことで多くの人々の外出を抑制することができ、従業員を最少人数に抑えることで感染拡大の危険性を減らすことができる大きな組織です。

第2波への警戒と対応に追われている世界各国の現状を見る限り、国の管轄にあるJRAが「感染拡大に一役買ってしまう」ことになるリスクを取ってまで「売上向上」や、現状で水準以上のサービスを展開できている中での「お客様へのサービス向上」を入場再開という形を取って選択するとは考えにくいと見るのが妥当ではないでしょうか。

先週の東京競馬は制限付きの入場で開催されましたが、大きな声援を送るのは当然ご法度、ゴール前の広いスペースは立ち入り禁止、 三密を防ぐため場内整理員がパドックや発売窓口に常時待機、イベントはなく、レース時以外の場内は感染防止や感染が後日発覚した場合の注意事項などのアナウンスが流れるといった状態でした。とても従来の競馬場の楽しい雰囲気を味わえる気分ではありません。競馬場の持つアミューズメント的な空間やエンターテインメント性が出せないとなると、現地観戦の魅力も半減でしょう。

長くなりましたが、本題の件である「完全な入場再開はいつなのか?」につきましては、2021年に開催されると言われている東京オリンピックでさえもどうなるか分からないという現状を考えると、少なくとも来年いっぱいは足踏み状態が続くのではないかという見方です。

新型コロナウィルス関連ということで少々悲観的な内容の記事となってしまいましたが、いち競馬ファンである筆者がテレビ画面ごしに聞こえた観客の小さな拍手に感動したように、競馬に対する心持ちに変化が生まれているファンは少なくないのではないでしょうか。筆者としては「新しい競馬のあり方」が誕生する可能性も高いと見ており、その誕生を楽しみにしています。