【共同通信杯2020予想】“ロマン”溢れる穴馬、ドラマを生むか

東京の日曜メインは、クラシックを目指す若駒たちの一戦「共同通信杯」です。昨年の勝馬ダノンキングリーは皐月賞3着、ダービー2着、秋は毎日王冠で古馬を一蹴し、2着だったアドマイヤマーズはNHKマイルカップと香港マイルを制するまでの馬に成長しています。クラシック路線を占う意味でも最も重要なレースということに加え、今後の古馬G1路線でも活躍するような馬が出てくる可能性も高く、出世レースとしても注目される一戦です。

今年も3戦3勝のマイラプソディをはじめ、京成杯4着のビターエンダー、地方から挑戦してきたエン、サトノクラウンの半弟で新馬戦を快勝したフィレオアレグロ、札幌2歳ステークス3着のダーリントンホールなど、将来が楽しみな素質馬が集結しました。

“将来が楽しみ”という見方で選ぶなら個人的には高市厩舎の期待馬、シングンバズーカが最大の注目馬となります。

シングンバズーカは昨年9月に中山1600mでデビューしたシングンオペラ産駒。デビュー5戦目となった前走の未勝利戦でようやく勝ち星を挙げ、クラシックへの切符を掴みにこの舞台へとやってきました。初勝利まで5戦を要したという点はいまひとつですが、5戦中4戦が上り最速で残り1戦も2番目の速さと末脚は堅実です。

父シングンオペラは2000年に地方の船橋でデビューしたダート馬でしたが、4戦目で中央芝レースのひいらぎ賞に挑戦し、15番人気で2着と激走。その後も芝適性を見せ、共同通信杯で9番人気ながら4着と好走しました。この時の勝馬はダービー馬のジャングルポケットで、着差は0.5秒差と強い競馬を見せており、その後もアルゼンチン共和国杯で3着に好走するなど中距離戦線で活躍しました。末脚は父親譲りでしょう。

シングンオペラはあまり広く知られた産駒ではありませんが、現役時代に両前脚の腱断裂を起こし安楽死一歩手前までいくという逸話があったり、史上初の日本人オーナーに仏ダービー制覇をプレゼントしたステイヤーのハードツービートの血が入っているなど、コアなファンは多そうな渋い血統です。

そんな地方出身のシングンオペラは、シングンの冠名で知られている伊坂重憲(イサカシゲノリ)オーナーの所有馬で、2004年生から1頭ずつ種付けを行い、2世代目のシングンリターンズ、3世代目のシングンレジェンドがともに勝利してから勝ち上り率の高さが注目されていました。そんな中、2014年生まれのシングンマイケルが平地未勝利ながら昨年末の中山大障害で勝利し、障害ですがG1馬を輩出するまでになりました。

障害G1を制し、いよいよ今年は平地クラシックのG1挑戦と血の勢いがあります。オーナーの強いこだわりと愛着が感じられるロマンと魅力溢れるシングンバズーカは、果たして父が届かなかったクラシックの舞台に立つことはできるのか?中距離適性や末脚の切れを見るとここでも十分通用しそうですし、今回はシングンバズーカの激走に期待した馬券で勝負したいと思います。