オリンピックの馬術と競馬の違いは?

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今年開催予定だったオリンピックが来年2021年に延期となりましたね。色々と対応についても議論がなされていましたが、来年こそは延期や中止にならずに開催を期待したいです。普段はあまりスポーツに関心のない人でも、オリンピックは見るという人もたくさんいるかと思います。さらに、日本開催となれば興味も高まりますよね。

あまり馴染みのない競技ですが、オリンピックに「馬術」という競技があります。文字通り馬に乗って行う競技ですが、競技の中では地味な方なのでどんな競技なのか知らないという人もいるかと思います。

このオリンピックで行われる馬術と競馬の競技内容の違い、騎手の違いなどを分析してみたいと思います。

競馬と馬術の概要

まずは、競馬の概要と馬術の概要についてそれぞれ確認していきましょう。

競馬

競馬はみなさんお馴染みですが、騎手が馬に乗って決められたコースを走り、着順を競う競技です。競馬の中でも競走の種類が分かれていて、平地競走・障害競走・速歩競走の3種類がありますが、日本では速歩競走は行われていません。

また平地競走でのコースも芝のコースとダートがあり、走る距離も1,000m〜3,600mとレースにより異なります。

日本では公営ギャンブルを提供するJRA、近代競馬の発祥地のイギリスでは公営ギャンブルの他ブックメーカーでの競馬ベットなどギャンブルとも深く関わる競技ですが、競技自体はスポーツとして行われています。

馬術

馬術競技はオリンピックで採用されている競技の中で、動物を扱う唯一の競技です。また、男女混合で行われる唯一の競技でもあります。種目は主に下記のように3つに分かれています。

1. 馬場馬術(団体・個人)

20m×60mの長方形の競技場内で競技を行い、ステップなどの演技の正確さ、美しさを競います。体操のように、審判によって採点が行われます。

2. 障害馬術(団体・個人)

コースに設置されている障害物を飛越しながらミスをせずにゴールを目指します。走行時間と障害物を飛び越える際のミスの少なさで判定が行われます。

3. 総合馬術(団体・個人)

1の馬場馬術と2の障害馬術に加えて、ダイナミックなクロスカントリー走行がプラスされた総合種目です。全ての種目を同じ馬、選手で行います。

個人競技では各種目個々で行うパフォーマンスの評価を競い合いますが、団体競技では各国3チーム、選手3人と3頭の馬によるパフォーマンスの評価を合計した成績で競います。

オリンピックでは上記の3種目が採用されていますが、国際馬術連盟は他に5つの種目を認定しています。

2つの競技自体の違い

競馬でもレースの種類は分かれていますが、馬術競技はもう少しエンターテイメント性が高くなり、スピードよりも体操やフィギュアスケートのように「見せる」という点が重視されています。

馬場馬術の概要を見ると競馬とは全く異なることは分かるかと思いますが、馬術にも競馬と同じ種目の「障害」という種目があります。この2つの違いが気になるところですね。

競馬の障害競走が障害物を飛越しながらゴールを目指し、ゴールした順で順位が決まるのに対し、馬術の障害では決められた順番の障害物を飛越しながら走行し、障害物の落下・ミスなく規定の時間内で早くゴールすることが決め手となります。スピードだけでなく、正確さと美しさも求められるので、競馬のように猛スピードでゴールまで突っ走るということはありません。また、馬術はコースではなく、アリーナ(競技場)で競技を行なうというところも異なる点です。

障害物の落下や馬が反抗するなど不従順があった場合には減点、場合によっては失格となってしまい、減点された場合にはゴールタイムに規定の秒数が加算されます。

競技選手の違い

競馬・馬術ともに騎手になって活躍するのに男女の垣根がないというのは同様です。

競馬の騎手の引退年齢は他のスポーツのアスリートと同じぐらいで大体30代〜40代ですが、馬術の選手は幅広い年齢層の選手がいるというのが特徴的。実際に、2012年のロンドンオリンピックでは、当時71歳で日本人最高齢選手となる法華津寛選手が出場しています。ちなみに法華津選手は現在79歳ですが、来年の東京五輪に向けても準備をしているみたいです。

競馬では今年に入って64歳最年長ジョッキーとしての記録を持つ森下騎手が引退しています。騎手の体力面での消耗は技術重視の馬術よりも速さ重視の競馬の方が大きいため、馬術騎手の方が現役を長く続けられるようですね。

まとめ

馬と騎手が一緒に競うという面では競馬も馬術も一緒ですが、競技としてはスピード面が問われるか、技術が問われるか全く異なる競技です。何より、どちらの競技でも馬が一生懸命頑張っているのを見るのが馬好きにはたまりません。

馬好きの人は、日々の競馬を楽しみつつ来年のオリンピックの馬術も楽しみにしていましょう。