異色の出走馬ヘヴィータンク、勝ち星なしのまま皐月賞出走も可能?

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弥生賞に1頭異色の戦績で登録してきた馬がいる。栗東・森秀行厩舎所属のヘヴィータンクだ。聞き覚えのない名前なのは3歳馬なので仕方ないとお思いかもしれないが、実はこの馬は今回の弥生賞がデビュー戦となる正真正銘の未勝利馬である。ここまでは単なる無謀な挑戦というだけのことで終わるかもしれないが、弥生賞が皐月賞トライアルということで事態が少し複雑化してくる。

今回の弥生賞へは未勝利馬でも登録が可能となっていたが、本番の皐月賞は未勝利馬の出走を制限している。つまり、ここで3着となり優先出走権を得たとしても、前提条件をクリアしていないためやはり出走が叶わないということになる。さらに事態を混乱させるのが「未勝利馬」という言葉の定義にある。

一般的に考えてしまえば未勝利なのだから、勝利したことのない馬なのだろうという理解に陥ってしまうかもしれないが、JRAにおいては「収得賞金が0」であることを未勝利と定義している。従って、弥生賞を優勝しなくとも、2着に入りさえすれば本賞金の半額が収得賞金として加算され、勝ち星のないまま皐月賞へ出走が可能となるわけだ。

このような特殊な条件を見ることは早々ないが、1993年ロイスアンドロイスが未出走でこそなかったが、未勝利のまま青葉賞へ挑戦し3着となりダービーへの優先出走権を得たものの収得賞金の条件がクリアできないまま出走を断念したというケースもあった。未出走のまま重賞でデビューすることも稀有であるが、ここで2着となって皐月賞を優勝するようなことがあれば初勝利がG1、しかもクラシックという離れ業の達成となる。

このままでは絵に描いた餅、取らぬ狸の皮算用ではあるが夢があるのは素晴らしいことだろう。対戦相手は同世代でも非常に評価の高いダノンプレミアム、ワグネリアンと険しい道程ではあるが、皐月賞にはダービーへの優先出走権もついているため、大逆転で世代最高峰へと繋がっている。

公衆の面前にお目見えしたことのない、まさにダークホースであるヘヴィータンクだが調教時計を見る限りでは手応えありとは言い難い。当然競馬に絶対はないので、怖いもの見たさの複勝馬券は妙に売れそうな気配もありそうだ。