ボストンハーバーの血を繋ぐイクスキューズ、繁殖としてまだまだ期待

牝馬にしてダービー馬という名牝ウオッカが亡くなる悲しいニュースのあった2019年ですが、同世代はライバルのダイワスカーレットを含めまだまだ繁殖として活躍している世代でもあります。今回はその世代の1頭で、G1勝ちこそないものの2007年クイーンカップを制したイクスキューズにスポットを当てていきます。

父ボストンハーバー、母クリスティキャットから産まれた同馬は、ひだかトレーニングセール2006に上場されましたが、好タイムをマークして注目を集めたことから、岡田代表の目に止まり、牝馬ながらに当時の最高価格の3700万円で生産牧場のオーナーに買い戻されるという珍事を起こしました。

以上の経緯から市場をお騒がせして「申し訳ありません」という意味で馬名が英語で「すみません」という意味を持つ「Excuse me」から「イクスキューズ」と名付けられたようです。

最終的に獲得賞金は1億5千万円オーバーと期待にそぐわぬ活躍を果たして、引退後はコスモビューファームで繁殖入りをしています。

生き物相手の仕事だけに、不受胎や流産など不測の事態も十分起こりうるため、運任せな部分も未だ残されているサラブレッドの生産ですが、幸いなことにイクスキューズは大きなトラブルなく繁殖入り後9年連続で産駒を生み続けています。

また、産駒も牡馬、牝馬まんべんなく出産しており、今では貴重なボストンハーバーの血を繋ぐ可能性や、牧場としてもイクスキューズの後継を残していけるため、大物と呼べる産駒はいないまでも繁殖牝馬として大きな仕事をこなしてくれています。

あとは産駒が表舞台で活躍してくれたらイクスキューズのファンとしては言うこと無しといったところでしょう。今年の2歳馬はゴールドシップとの配合から産まれたウインキートスがデビューに向けてトレーニング中となっています。

現役では、3月に未勝利戦を勝ち、5月は1勝クラスの早苗賞で4着に健闘するなど、自己条件で奮闘している3歳牝馬のウインメルシーなどがおります。父はG1・3勝のジャスタウェイ。4歳から一気に花を開いた父を持つだけに、まだまだ今後が楽しみな一頭です。

その他にイクスキューズの同世代と言えばオークス馬のローブデコルテはウオッカより更にひと足早く天国へ旅立ってしまいましたが、前述のダイワスカーレット以外にも現役時代に重賞を盛り上げたカタマチボタン、ベッラレイアなども繁殖で頑張っており、一線を退いたあとも定期的に話題を届けてくれ、末永く競馬ファンを楽しませてくれる競走馬には感謝が尽きませんね。