菊水賞の勝ち馬シュエットに感じた競馬のロマン

今年の兵庫県競馬の3歳クラシック1冠目「菊水賞」を制したのは、紅一点のシュエットでした。園田生え抜きで、これが通算2勝目。鞍上の笹田知宏騎手にとっても嬉しい初重賞制覇となり、人馬共々これからの活躍が大いに楽しみとなる1勝だったように思います。

さて何気なくシュエットの血統表を眺めていたら、ふと過去を思い出す馬名にたどり着きました。父ブラックタイドは、昨年の菊花賞馬キタサンブラックを筆頭にマイネルフロスト、テイエムイナズマなどの重賞勝ち馬を輩出し、今最も勢いのある種牡馬の1頭と言ってもいいでしょう。母は中央未勝利→ホッカイドウ競馬に移籍し、通算7勝を挙げたゴッドビラブドミー。そして祖母が、あのゴッドインチーフです。

あの…と言われても、若いファンの方はピンと来ないかもしれませんが、ゴッドインチーフはコマンダーインチーフの2年目の産駒として、1998年にデビュー。新馬戦の勝ちっぷりもさることながら、特筆モノは2戦目のききょうS。後方でレースを進め、追い出されると繰り出した上がりは36秒6。出走メンバーの中で、36秒台の脚を使ったのはこの馬だけで、まさに「ゴボウ抜き」の表現がピッタリ当たる圧巻のパフォーマンス。キャリア2戦目でこの競馬なら、GIでも…と思ったファンは少なくなかったのではないでしょうか。

しかしその後はGIはおろか、重賞でも2着が一度あるだけで、晩年はダートに矛先を向けて、人気薄での3着が2回あるだけで引退。繁殖後も5歳下の妹オメガスピリットがヌーヴォレコルトを輩出したのに対し、これといった活躍馬も出ませんでしたが、祖母となってその活力が復活したかと思うと、やはり血統は父系だけでなく、母系も重要なのだと再認識させられました。

シュエットの次走は交流の兵庫CSか、のじぎく賞のどちらかと伝えられていますが、今回の勝利がフロックと言われないため、そして祖母の血を拡げていけるように。これからの活躍に期待したいと思います。