JRA、女性騎手に限り減量特典を緩和する見通し

JRAは来年1月から女性騎手に限り、減量特典を大幅に緩和する新規定を導入する見通しであることが明らかになりました。16日、スポーツ新聞のスポニチや大手競馬ポータルサイトUMAJINが報道。

通常、デビューした新人騎手は男女問わず3キロ減から始まり、通算勝利数が101勝になるか、デビューから6年目以上になると特典が消滅する規定となっております。新規定は、女性騎手に限り4キロ減からのスタートとなり、勝利数やキャリアに関係なく2キロ減は永遠に保証されるという内容。

女性騎手の減量恩恵を緩和する規定は2017年からすでにフランスで導入されており、混合レースに騎乗した際、女性騎手は負担重量の2キロ減の特典措置が与えられます。日本でも地方競馬では1キロなどの減量特典が付与される制度を設けている主催者がありますが、世界的には男女平等の条件下で行っているところがほとんどであり、今回のような新規定導入は競馬業界全体としては稀な試みとなります。

しかし、フランスは厩舎で働く乗り手も約半数が女性で、近年の競馬学校への入学者の6割が女性と世界的にも女性の進出が目立っている国です。女性の競馬ファンは増えてはいるものの、騎手や厩務員などはほとんどが男性で、いまだ男性社会が色濃く残っている日本での導入は異例中の異例と言えるでしょう。

今回の新規定は、16年ぶりの女性ジョッキー・藤田菜七子騎手が2016年にデビューしたことの影響が大きいとされており、女性騎手の増加による競馬業界活性化を狙った新規定として以前から検討されており注目を集めておりました。

名門・開成高校出身という異色の経歴を持つJRA調教師の矢作芳人調教師は、今年の夏に藤田騎手の通算成績が31勝となり2キロ減の"見習い騎手"となった際に、藤田騎手の活躍について「競馬を盛り上げる意味でも、喜ばしい」と語り、彼女の活躍を喜びました。

さらに「騎手でなくても、多くの女性が競馬の世界に足を踏み入れてくれることが、慢性的な人手不足に悩む生産・育成牧場の切り札になる可能性もある。この制度の導入にはごく一部で不可解な反対意見もあるようだが、競馬業界全体の発展のためにも、ぜひ成し遂げてほしいものだ。」と述べ、新規定の導入についても早くから肯定的な見解を示しておりました。

スポーツ界では男女別に種目を行うのが一般的であり、そういう意味では競馬はある意味では異色なスポーツと言っていいかもしれません。しかし、近年はトライアスロンやアーチェリーなど男女混合で行うスポーツも増えてきており、2020年開催の東京五輪では男女混合種目が史上最多となり、女性の参加が過去最多となることも話題となっております。

競馬を含めて男女混合の流れがある今のスポーツ業界。今後はそんな中でどのようなルールを設けていくのかが、取り組むべき課題の一つとなりそうです。