【NHKマイルC予想2025】ランスオブカオス✕吉村誠之助騎手、人馬共に初の東京コース克服なるか?

チャーチルダウンズCを快勝し、念願の重賞初制覇を果たしたランスオブカオス。スタートからゴールまで隙のない立ち回りを見せ、直線では狭い一頭分のスペースを巧みに抜け出し、他馬を圧倒する完勝劇を演じた。

朝日杯FSではスローペースの中、後方から脚を伸ばして3着に善戦。続くきさらぎ賞ではスタートを決めて中団に構え、スムーズな捌きから鋭く伸びて再び3着と、着実に力をつけてきた。そして前走でついに重賞初Vを手にし、明確な成長曲線を描いている。

鞍上の吉村騎手はデビュー2年目ながら、その手綱捌きには目を見張るものがある。チャーチルダウンズCで重賞初制覇を達成すると、続くユニコーンSでもカナルビーグルで優勝。勢いに乗る若手のホープとして注目を集める存在となった。今回も重賞初勝利をともに飾った相棒との再コンビで、2勝目を狙う構えだ。

勢いに乗る人馬のコンビでG1獲りを目指す体勢は整ったが、懸念材料も少なくない。まず、人馬ともに東京コースは初挑戦。吉村騎手はこれまで東京での騎乗経験がなく、デビューからのキャリアで一度もこの舞台に立ったことがない。さらに、史上最年少でのJRA・G1制覇が懸かる重要な一戦だけに、精神的なプレッシャーも見逃せない。

馬にとっても、初の左回り、初の東京、初の関東遠征と「初物づくし」。加えて、東京1600mにおけるシルバーステート産駒の過去3年の成績は【1-1-3-59】と大きく崩れており、信頼には値しないデータだ。さらに、過去10年の同レースで関東圏への初輸送で勝利した例はゼロ。血統やデータ、適性面を冷静に見ると、大きな不安要素がいくつも浮かび上がる。

ランスオブカオス自身も、これまでのレース内容からはパワー型の走りが目立ち、瞬発力が求められる東京コースではパフォーマンスを落とすリスクが高い。人気を集めることは確実だが、陣営にとってもファンにとっても、その期待に応えられるかは未知数と言える。

確かな実力と勢いを持つ一方で、数多くの試練に直面する今回。勝ち切ってスターダムに駆け上がるのか、それとも危険な人気馬として波乱の引き金となるのか。その行方に大きな注目が集まる。