【日経賞2025予想】アーバンシックは危険な人気馬か?取り巻く期待と不安

昨年の菊花賞馬・アーバンシックは、実績から見ても今回の主役で間違いない。

前走の有馬記念では1番人気に支持されながらも、出遅れによるリカバリーでスタミナを消耗し、さらに前を走る馬を交わすのに手間取る場面や、内に閉じ込められる不利が重なり、本来の力を発揮できなかった。明らかに実力での敗北ではなく、不完全燃焼の一戦といえる。今回はG1馬不在のメンバー構成。アーバンシックの持つ潜在能力が一枚上手であることは疑いようがない。

調整も順調そのもの。中間の追い切りでは、美浦ウッドコースで2週前に6F79秒2-1F11秒8、1週前には6F83秒2-1F11秒4を馬なりでマークし、上昇ムードを漂わせている。武井調教師も「今までで一番いい状態で戻ってきた」と太鼓判を押しており、陣営も勝利への手応えを感じている状況だ。巻き返しに期待するファンが多いのも納得できる。

しかし、一方で“危険な人気馬”として警戒する声があるのも事実。アーバンシックはもともとゲートが課題の馬で、出遅れリスクが常につきまとう。加えて、器用に立ち回れるタイプではなく、後方からの競馬になりやすいため、展開に左右される不安も拭いきれない。人気を集めることを考えると、信頼しすぎるのはリスクを伴う。

さらに、陣営の強気コメントも毎度のこと。今回は次走の天皇賞・春を見据えた“叩き台”の可能性も否定できず、コメントをそのまま鵜呑みにせず、話半分で受け止めるくらいがちょうど良い。

また、今回のメンバー構成を見ると、差し馬が多く前残りの展開になる可能性が高い点も気がかりだ。どれだけ能力が高くても、展開が噛み合わなければ力を出し切るのは難しい。特にアーバンシックのように位置取りが後方になりがちな馬にとって、前が止まらない展開は致命的となる。

総合的に見ると、アーバンシックが地力上位であることは明白。ただ、断然人気になることを踏まえると慎重に見極めたい1頭。勝ち切るか、あるいは危険な人気馬として波乱を巻き起こすか。その行方に注目が集まる一戦となる。