武豊騎手の実力はホンモノなのか?

競馬好きの方なら誰もが一度は思う疑問。それは「武豊騎手の実力はホンモノなのか?」ということだ。「武は間違いなく天才。数字がそれを物語っている」という方もいれば「いい馬に乗ってるだけ。あれだけいい馬に乗れば誰でも同じくらい勝てる」との反論もある。これまで数々の伝説や栄えある実績を残してきたことも事実だし、強い馬に乗り続けてきたのも事実。一体、どちらが正しいのだろうか?

親の七光?コネのおかげ?

まず、武騎手の経歴を簡単に振り返ってみる。父は元騎手で調教師の武邦彦。騎手時代に通算1000勝以上をあげた名騎手である。当時競馬をやっていた人からすれば、誰でも知っているほどの偉大な人物であり、この息子となれば必然的に注目度も高くなる。武豊騎手は言わば「騎手のサラブレッド」である。さらに弟の武幸四郎騎手も騎手としてG1を勝つほどの実力を見せており、まさに競馬一家とも言われる家系なのである。

武豊騎手は他の多くの騎手と同じく18歳で騎手デビュー。デビュー年に69勝をあげ、最多勝利新人騎手となった。69勝という成績、今の時代では考えられない勝利数である。やはり有名な武邦彦騎手の息子であることから「親の七光り」「父親のコネでいい馬に乗せてもらったから」という声も多くあがった。確かに実際に良い馬にたくさん乗っていたのも事実で、全く競馬に縁のない環境から競馬騎手になった人よりは多少は恵まれていたのかもしれない。しかし、武騎手はそんな批判ももろともせずに二年目には早くもG1レースに勝利し、関西リーディングも受賞。三年目には全国リーディングに加え、G1レースを4勝するなどの大活躍を見せて突き進んでいく。そこからの快進撃はもう皆さんご存じの通りである。G1を100勝、その内日本ダービーは5勝。通算勝利数は3700を越えて更新中で、そのうち重賞レースは300勝を超える。海外のG1レースにも数々勝利しており、JRA史上最高の成績を残した騎手として大成していく。

確かに、武豊騎手は他の騎手よりも多分に恵まれていたと言えるかもしれないが、競馬一家の家系にあっても大成しない騎手はたくさんいる。武騎手のスタート地点が少し前であったことは確かであるが、そこから積み上げた結果は彼自身の力によるものではなかろうか。スタート地点で恵まれた分よりも、ゴール地点では遥かにぶっちぎった結果を出している点を見ればやはり強い騎手なのではないだろうかと思ってしまう。

武豊騎手の最近の活躍は?実力は真意は?

最近の成績を見ると、勝率・連対率共に大きく下がっており、実際に数字を見なくとも最近は勝てていないという印象が強い。今現在の実力は、全盛期に比べれば随分衰えたと言えるだろう。それでも2015年は100勝をあげるなど健闘をしている。これだけたくさんのレースに勝って、これだけたくさんの賞金を得ているにもかかわらず、まだ貪欲に勝利を狙いに行く姿。それはまさしく勝負師そのものであり、誰もが見習うべき所であると言えるのではないだろうか。

「武豊騎手の実力はホンモノなのか?」という疑問についてだが、仮に武豊騎手が本当は実力が全く無く、実は並の騎手くらいであったとしよう。となると、これまで残してきた数々の伝説や実績、パフォーマンスは何によって果たされてきたのだろうか?「良い馬に乗ってきたから」という理由だけで説明がつくのだろうか?良い馬に乗れても勝ちきれない騎手がたくさんいる中で、きちんと馬の能力を引き出して優勝に導く力があるなら、「実力のある騎手」と言っても良いのではないだろうか。