京都記念(G2)有力馬情報・タッチングスピーチ

紅一点の4歳牝馬・タッチングスピーチが、2016年の始動戦に、伝統の古馬G2・京都記念を選択してきた。昨年は、夏の札幌開催の500万条件を勝った後に、秋華賞トライアルのローズステークス(G2)を快勝し、一躍3歳牝馬戦線のトップクラスに躍り出た。次走の秋華賞(G1)は、6着に敗れたものの、古馬G1のエリザベス女王杯(G1)では、タイム差なしの3着に好走しており、今回は、それ以来のレースになる。

タッチングスピーチは、3歳の春に桜花賞トライアル・チューリップ賞(G3)を9着、次走の忘れな草賞(OP)を8着と思うような競馬が出来なかったこともあり、陣営は、ここで、春のクラシックを諦めて、夏まで休養させた。

結果的に、この選択は大正解であり、夏の札幌500万条件では、初の古馬相手にも関わらず、全く問題にすることなく勝ち上がってしまった。勝ち方がまた鮮やかであり、小回りコース、直線が短い札幌でシンガリに近い位置から前をいく馬をまとめて差しきってしまうという競馬で持っている潜在能力の高さを十分に見せつけてくれたレースだった。

血統を見ると父がディープインパクトであり、母が英国G1馬のリッスンという血統である。母父にサドラーズウェルズが入っており、成長力はまだまだ見込めそうな母系も魅力的。サドラーズウェルズは、自身の産駒の日本での成績は今ひとつであったが、母父に入ると、重たい血が緩和されるのか、豊かな成長力と日本の馬場にも対応できるスピード、そして確かな底力をしっかりと伝えている印象を受ける。

90年代後半の凱旋門賞(仏G1)・2着のエルコンドルパサーをはじめ、2005年のオークス(G1)を圧倒的な能力の高さで勝ったシーザリオなどが母父・サドラーズウェルズである。

能力を孫に伝える遺伝力は確かなものであり、昨年のエリザベス女王杯から久々の出走となるタッチングスピーチがどれくらい成長しているかを見るのも今週の京都記念の楽しみのひとつではないだろうか。