【ニュージーランドT予想2025】マイル路線の新星ムイ、完成度と自在性で世代トップへ

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土曜の中山メインはG2「ニュージーランドトロフィー」が開催。桜花賞への出走が叶わなかった牝馬や、皐月賞では距離が長いと判断された牡馬たちがNHKマイルカップへの出走権を懸けて争う重要なトライアル戦である。

今年も桜花賞除外となった牝馬や、クラシック王道路線を回避した牡馬など、多彩な顔ぶれ14頭が出走を予定。その中でも注目すべき存在が、桜花賞に賞金不足で出走できなかった無敗の牝馬・ムイだ。

ムイはこれまで2戦2勝。新馬戦と1勝クラスを連勝し、桜花賞に登録していたが、今年は例年より出走ボーダーが高く、惜しくも除外。仮に出走できていれば、伏兵として大きな注目を集めていたはずの逸材である。

重賞どころか特別戦の経験すらないため、実績面では他馬に劣る印象を持たれるかもしれない。だが、レース内容を見る限り、その懸念は杞憂に過ぎない。むしろ、レースセンスと勝ち方の完成度においては、並みの重賞馬を凌駕していると言っても良いだろう。

新馬戦では小倉1200mというスピード勝負の舞台で、ハイペースを先行。直線では外に持ち出し、楽な手応えで先頭に立つと、後続の追撃を察知するかのようにギアをもう一段階上げて押し切った。3着馬の脚も鋭かったが、ムイの反応はそれを完全に上回っていた。

続く1勝クラスでは1400mに距離を延ばし、今度は後方からの競馬。初戦とは展開も競馬場も異なる中で、直線外に出して一気に差し切り、最後は突き放す横綱相撲を披露。着差以上に内容が濃く、レース運びの自在さも評価に値する。

確かに2戦とも相手レベルは高くなかったかもしれないが、それでも“外に出してからどこまでも伸びる脚”は非凡の一言。ここまでの2戦で見せた差し脚の質と再現性の高さは、単なるラッキーな勝利では片付けられない説得力がある。

今回のニュージーランドトロフィーでは、相手が一気に強化され、距離も初の1600mとなる。しかし、これまでのレース内容を見る限り、この条件がマイナスに働くとは考えにくい。むしろ、よりペースが落ち着くマイル戦の方が持ち味の末脚を発揮しやすいはずだ。

桜花賞除外の悔しさをバネに、ムイがここで無敗のまま重賞初制覇を成し遂げる可能性は十分にある。直線で外に出しさえすれば、あの“伸び”が再び炸裂するずだ。