種牡馬引退から一転再評価のナカヤマフェスタ

競走馬が本来はどのような生き方をしたかったのか、人間からは実際のところ想像もつかないところでもあります。『走るために生まれてきた』とも言われるサラブレッドですが、調教により人間の言うことを聞かせることは出来るようになっても、実際に意思の疎通を取ることは困難であり、もしも本心を聞くことができるなら「冗談じゃない」などと怒る馬もいるのではないでしょうか。そんな負い目があるからこそ、競走馬を引退した後のサラブレッドを労い、余生をゆっくり過ごしてほしいと願うことも多いのではないでしょうか。

そういったことを踏まえて、余計に今の心境を聞けるものなら聞いてみたいと思うのが、ステイゴールド産駒のナカヤマフェスタです。

凱旋門賞では日本調教馬の最高着順タイ記録である2着という実績を残し、通算成績15戦5勝、4歳時の宝塚記念勝利といった功績もあり、競走馬引退後は種牡馬入りとなりました。

ところが、6シーズンを終えたところでシンジケートが解散となり、種牡馬生活からも離れることとなった矢先の2018年、ガンコの日経賞勝利によって産駒の重賞初勝利を得たことで種牡馬として再評価を得て、現在はアロースタッドへ移り再度種牡馬生活へと舞い戻ってきました。

また、種付け数も減少していたシンジケート解散直前の2017年に生まれたバビットは今年のラジオNIKKEI賞を勝利しており、種牡馬として改めて再評価を受けている真っ只中にいるナカヤマフェスタです。

人のエゴにより紆余曲折を経て再度種牡馬の位置に立ち、人の物差しで測るなら一握りの選ばれたサラブレッドしかなることを許されない種牡馬になれたことは誇らしいことと言えますが、果たして本人にとってはどんな心境なのか。

いずれにせよG1を制し、凱旋門賞でもあと少しのところまで夢を見させてくれたファンの多いサラブレッドです。現在はコロナウイルスの影響を見ながらではありますが、見学公開も予定されており元気に過ごされているようです。

種牡馬としても、功労馬としても、興味のある方はぜひ今後も動向をチェックしてみてはいかがでしょうか。