ウインバリアシオンの種牡馬の可能性について

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青森県で種牡馬生活をスタートさせる、ウインバリアシオンの種付け料が先日決定した。種付け料は以下の3つのプランとなっている。

  1. 前金及び種付時持参条件=30万円
  2. 受胎確認後9月末日支払い=50万円
  3. 出生後1ヶ月以内支払い=70万円

ウインバリアシオンは、父・ハーツクライ、母・スーパーバレリーナという血統。現役時代は、3歳時にダービートライアルである青葉賞(G2)を勝つと、続くダービーでは、後の3冠馬オルフェーヴルの2着に。3着以下は7馬身千切るといった高い能力を示した。

その後も、屈腱炎などの体質面の弱さに悩まされながらも、古馬中長距離路線でトップクラスの1頭として活躍した。現役引退後は、乗馬として繋養される予定であったが、急遽、青森で種牡馬生活を送ることになった。個人的には、種牡馬入りできたことに関しては、素直に祝福であるが、ウインバリアシオンの種牡馬の可能性については、現時点ではクエスチョンマークが付くのではないだろうか。

父・ハーツクライは、サンデーサイレンスとアイリッシュダンスの息子であり、一般的には、超良血馬といっていい血統。実際、ハーツクライ自身は、ジャスタウェイやヌーヴォレコルト、ダービー馬のワンアンドオンリーなどを産駒として輩出しており、その血が本物であることを証明している。

反面、それらの兄弟連中が種牡馬となるにあたり強力なライバルとなる。もちろん、ウインバリアシオンも代表産駒の一頭であるが、どうも、ウインバリアシオンに種牡馬成功のイメージが湧いてこないのはやはり母系の弱さだろうか。ウインバリアシオンの祖母にあたるスーパーバレリーナの母である、カウントオンアチェンジまで遡ってみても、中央の重賞はウインバリアシオン以外は勝っていないという現状。

優秀な競走馬というのは、もちろん、種牡馬の能力や遺伝力も大事なのだが、それ以上に母系が優れていることのほうが大事だと一般的にはされている。当然、例外もあり、全てに当てはまるわけではないが、近年の活躍馬たちを見ると、現役時代に優秀な成績を残した母の血を引いているというケースが多い。今年のクラシック戦線の中心になりそうな、エアスピネルとリオンディーズの母も、それぞれ、エアメサイアとシーザリオという、G1ホースである。

母系に目立った活躍馬がいないウインバリアシオンの可能性としては、非常に先行きが不安な種牡馬生活であることは現時点では否めない。ましてや、青森という競走馬生産界ではマイナーな場所での種牡馬生活は相当厳しいと見ている。逆に、この血統・環境の中から、G1を賑わせそうな馬が誕生したら、真っ先に応援する自信があるだろう。

ウインバリアシオンには、この、くだらない評価を覆すぐらいの子どもを世に送り出してほしいと感じている。