【天皇賞春の回顧】この厳しい経験が今後に活きる

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阪神開催で行われた今年の春の天皇賞、2週目が内回りコースという事でしっかりロングスパート能力が問われたステイヤー決定戦に相応しいレースだったように思う。菊花賞以来2つ目のG1制覇を成し遂げたワールドプレミアは枠順を活かした福永騎手の好騎乗もあり、ディープボンドとの追い比べを制した。

まずラップから振り返っていくと【12.8-11.3-11.7-11.9-12.1-11.9-11.8-12.1-13.1-12.6-12.1-12-11.9-12.1-12.3-13.0】とディアスティマが淀みない逃げを打ったことでしっかり地力が問われるレースとなった。最後は13秒台までラップが落ち込んでいるように、超長距離戦らしい消耗戦になった。

勝ち馬ワールドプレミアは3000mを越えるG1がこれで2勝目となり改めて長距離への高い適性を示すことが出来た。ワールドエースの下という良血馬で期待されていたが3歳時は加速に時間がかかったり直線向いてからも反応が鈍かったりしたこともあったが、徐々に力をつけて今回天皇賞もしっかり勝ち切った。友道厩舎らしく、3歳の春に無理をさせずにじっくり成長を促しながら育てられてきた事が良かったように感じる。この馬に関しては、デビューからどのレースを振り返ってもしっかり末脚を使うが、とにかく追走力が乏しいので道中ある程度脚を溜めながら走れるこの距離が向いているのだろう。秋はJCが最大目標になると思うが、ある程度位置を取れて同じような末脚を繰り出せるかが今後大事になってくるだろう。

2着ディープボンドは外枠だったがしっかり好位を確保して、最後もしぶとく伸びて2着を確保した。スパッとキレる脚を使うタイプではないが、阪神大賞典を圧勝したように豊富なスタミナと条件を問わない持続的な末脚が武器の馬。ハイペースだった京都新聞杯や前走の阪神大賞典のように、スタミナの要求値が高まれば高まるほどこの馬の良さが活きるだろう。3000mを越える重賞を2度使っているのでコンディション的な問題はあるが、梅雨時期の宝塚記念は条件的には合うだろう。和田騎手もミッキーロケットで勝ったようなイメージで乗ってくれればチャンスはありそう。

3着カレンブーケドールは早めに先頭にたちながらも3着に凌ぐんだから素直に強いの一言だろう。この世代はグランアレグリアやクロノジェネシス・ラヴズオンリーユーといった現役最強馬が集う世代で、それらの馬達と戦ってきた経験もあり勝ち切れないがとにかく条件問わず大崩れしないのが強み。やはりオークスやJCでのパフォーマンスを見ると、2400mがベスト条件だと思うが、この天皇賞での経験は今後に活きてきそうだ。

4着アリストテレスは最後伸びてきたが、惜しい4着。菊花賞でのパフォーマンスから長い距離への適性があると見ていたが、この天皇賞含めた2戦を見ると本質的にこの距離はやはり長いように思う。前走は気性的な難しさを出してしまって惨敗したが、今回も勝負所での反応の鈍さを考えると、レース後ルメール騎手が言っていたように2400mぐらいまでがベストだろう。最後カレンブーケドールを追い詰めたので脚を余しているように見えるが、ディープボンドやワールドプレミアとの差はあまり詰まっていなかった。気性的な前向きさが出てきていると思うので、秋はJCで活躍するのを見たい。宝塚記念は内回りコースで、器用じゃないこの馬にはどう考えても合わないと思われる。

ウインマリリンに関しては枠順が外だったこともあり、本来の持ち味を出すことは出来なかったがそれでも5着にきたあたり馬が強くなっているのは間違いなさそう。しっかり先行して前でしぶとさを活かすのが強みの馬だから、内枠でしっかり先行できればすぐに巻き返してきそう。ディアスティマも厳しい逃げをうちながら、この相手に6着は立派の一言だろう。こだわって長いとこを中心に使われてきており、とにかくスタミナが豊富な馬で今後も期待できそう。

厳しいレースとなった天皇賞だが、このレースでの経験は間違いなく全馬に活きてきそう。近年もキタサンブラックやシュヴァルグラン・フィエールマンといった天皇賞で勝ち負けした馬は他のG1でもしっかり勝ち負けしているように、この距離を走り切れる基礎体力というのはどの舞台においても強みになるだろう。