【皐月賞2016出走馬】リオンディーズ2歳王者のジンクスを覆せるか

牡馬クラシック第一弾の皐月賞(G1)が17日の中山競馬場で開催される。今年の有力馬の1頭に昨年の2歳チャンピオン決定戦の朝日杯FS(G1)の覇者・リオンディーズがいる。

半兄にエピファネイアを持つ良血統

リオンディーズは、父・キングカメハメハ、母・シーザリオ、安平町のノーザンファームの生産馬であり、管理するのは栗東の角居勝彦厩舎である。兄に菊花賞(G1)を5馬身差、ジャパンカップ(G1)を4馬身差で圧勝したエピファネイア。一般的に走って当たり前ともいうべきプロフィールの持ち主でもあるかもしれない。

過去戦績とその展開

リオンディーズはそんな周囲の期待に違わぬ競馬をデビュー戦からここまでは見せている。

昨年の11月の京都・芝2000メートル、少し遅目のデビューを果たしたリオンディーズはスタートしてからペースがアップする残り4ハロン過ぎまでずっとかかりっぱなしという競馬。コーナリングもぎこちないところがあり、いかにも新馬という粗削りな面をのぞかせながらも直線の末脚はすでに新馬離れしていた。今週、同じく皐月賞に出走する若葉ステークス(OP)の勝ち馬・アドマイヤダイオウに0.7差をつけてのメイクデビュー勝ち。

この後に陣営が選択したのが、G1の朝日杯FSであり、このレースをリオンディーズは後方15番手から、直線は爆発的な末脚を繰り出して初の重賞制覇がG1となった。

3戦目はクラシックの王道路線・弥生賞(G2)からの始動となったが、このレースはどちらかというとデビュー戦に近い形での道中4番手からの競馬となった。スタートしてすぐにやっぱり元気が良すぎて前に行っちゃったという競馬である。

通常、これだけ道中元気が良いと直線でバタバタになるものだが、そこはやっぱりシーザリオの息子であり、エピファネイアの弟。直線入口で先頭に立つと、とても道中引っ掛かって先行した馬とは思えないような末脚を炸裂させる。

ゴール手前でマカヒキに交わされ2着となったものの、相手も化け物候補の1頭だからこの日に関しては致し方ない部分もあるだろう。3着のエアスピネルに2馬身、4着のタイセイサミットには7馬身の差をつけている。

これまでのレースから見るリオンディーズの課題

これで本番のクラシック前の試走は終了したわけだが、リオンディーズのウィークポイントはやはり器用さと折り合いのような気もする。

同じく皐月賞の有力の1頭といわれている、サトノダイヤモンドのきさらぎ賞(G3)、マカヒキの弥生賞(G2)は道中折り合いがついており余分な力を使わない分、直線であれだけの末脚を発揮できる。

リオンディーズの場合は、弥生賞でマカヒキとはクビ差の2着。道中、リラックスして走ることができれば逆転は可能の差と見る。

ただ、今週は中山2000メートルが舞台の皐月賞であり、フルゲート18頭立てとなった場合にどのポジションを選択するかなどにも注目が集まる。折り合いを重視するならやはり朝日杯のように後方からの大外一気の競馬となりそうな気もする。ある程度前に付けるとなると押していかなければならないため、そうするとこの馬の場合はガツンといきそうな気配もある。

後方からの競馬となった場合は直線が短い中山2000メートルの大外一気は届かない可能性が高くなる。近年では2012年にゴールドシップが勝った皐月賞の2着馬・ワールドエースが代表的。

故障する前の3歳時のワールドエースはクラシック最有力といわれていた逸材であったが、勝ったゴールドシップが馬場のど真ん中を突き抜け1着、一方のワールドエースは4コーナー15番手の大外一気の競馬を選択してゴールドシップに届かなかったレースである。

リオンディーズもインコースとはいわなくとも、ある程度馬群の真ん中あたりからの直線ドカンが最も理想だが、前が壁になる危険性もあり現時点ではどういう競馬をするか非常に興味がある。

朝日杯勝ち馬に立ち込める暗雲

そしてこの馬の場合は21世紀に入ってから昨年までクラシックを勝ったのはわずか1頭のみという朝日杯FS優勝馬の嫌なデータも吹き飛ばせるかにも期待が集まる。2013年に皐月賞(G1)を勝ったロゴタイプが該当するが、それ以外の馬は頑張ってクラシック3冠で2着が精一杯という競馬。

マイルと中距離以上では求められる適性能力が違う、2歳時の体が完成していない時期にマイルの厳しいペースは馬の成長を阻害する、そもそもクラシックを狙う馬の出走自体が少ないなど昔からこの件に関しては色々といわれてきた。

今年の皐月賞はこの、粗削りだが爆発力は世代屈指のリオンディーズのレースぶりにも当然注目してみたいと感じている。仮に敗れても次の2冠目の日本ダービー(G1)に繋がるような内容を期待したい。この馬ならそれも可能なはずだ。