減量期間の見直しだけでは見習い騎手の引退に歯止めが効かないと思う3つの理由

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外国人騎手の活躍については、今年の上半期を見れば一目瞭然です。ルメール騎手がいきなりのツイッター投稿からの騎乗停止はご愛嬌としても、デムーロ騎手のドゥラメンテでの2冠達成、またノンコノユメのすさまじい破壊力を引き出しているルメール騎手の手綱、ともに鮮烈な印象を残しています。

ますますJRA生え抜きの騎手が生き辛くなりつつある昨今ですが、見習騎手の減量期間を現行の3年から5年に延長するとJRAから発表がありました。早いうちに引退して調教助手などに転進してしまう若手騎手が多い中でこれが画期的な打開策となるのでしょうか?わたしは疑問に思っています。

理由としては3点。1つが特別戦・重賞ではこの措置はどちらにしても使えない。2つ目、新馬・未勝利・500万下くらいまでは減量騎手を使って勝った後、あっさり有力騎手に乗り替わりになりそう。そして3つめに、地方・外国含め、JRAの賞金の高さを考えると流入の歯止めにはならない点です。

まだまだあると思いますが、大きなものはこの3つではないでしょうか。関西では2年目の松若騎手、関東では石川騎手などがメインレースを勝ったり重賞制覇で目立ってはいますが、有力馬の主戦の位置に座るまでにはまだまだキャリア・実績・騎乗数とも不足気味。我慢して使ってくれる陣営やオーナーサイドの理解がないと生え抜きの若手が育つ土壌がそもそもないのではないでしょうか。

ただでさえ最近の騎乗依頼はドライな印象があります。デビューから引退まで同じ騎手、という馬は最近はとんと見なくなりました。例えばディープインパクトは、武豊騎手しかその背中を知らないといわれる名馬ではあります。

結果がすべての世界ではあるため、仕方のない部分も多いでしょう。勝つために最善の努力を尽くすのが調教師の仕事なのは分かります。また騎手以上に淘汰されつつあるのも調教師の世界だとも思います。

それでも、「育てる」という概念が馬には向いていたとしても、人には向いていない印象が最近特に強いです。芽を摘むとまでは言いませんが長い目で見て伸びる可能性があったはずの若手騎手まで、生活できず、馬にも乗れずで引退に追い込まれてしまうのでは、せっかく苦労して騎手免許を取得したのにあまりに残念です。

このまま若い芽が育ち辛い状況が続けば、いずれJRA出身の騎手が絶えてしまうのではないかという危惧もあります。そして何よりも、競馬ファンからしても一極集中よりは、いろんな個性がある騎手に活躍してもらったほうが面白いと思うのです。

減量騎手の期間を5年にすることで、どう転ぶかわかりませんが、これだけにとどまらず二の矢三の矢をと、打開策をぜひJRAには打ち出してほしいものです。これだけでは仮に多少好転しても、厳しいのではないでしょうか。