ゴール間違えた山田騎手の処分内容は?裁定委員会からの続報未だ出ず

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10月13日、新潟競馬場の第6Rにて2番人気のペイシャエリートに騎乗していた山田敬士騎手は、コースを1周半走って競う2500mのレースでハナをきって逃げたが、1週目の直線半ばでムチを入れてスパートをかけてしまった。ゴール板通過後は馬を外に誘導してスピードダウンし、後続から次々に追い抜かれそのまま12着の最下位に敗れた。

これにより山田騎手は14日からJRA裁定委員会の議定があるまで騎乗停止となってしまった。競走距離の錯誤による騎乗停止は史上初となる。24日にはJRA本部にて1回目の裁定委員会が開催され、今後は山田騎手の弁明内容を精査したうえで、第2回裁定委員会において最終的な処分が決定される予定となっている。

レースから3週間が経っても未だに裁定の続報は出ていないこところを見ると、思いの外事は重大のようだ。2番人気という上位人気馬でのこうした行為は八百長を疑われても仕方が無いし、前例が無いため今後の判例にもなることを考えると委員会も慎重にならざるを得ないだろう。

山田騎手は今年3月にデビューした新人騎手で、同期の中では最多となる7勝をあげていた。注目のルーキーとして存在感を示していただけに、今回の史上初のアクシデントは本人にとっても不名誉な記録となってしまった。

山田騎手は母子家庭育ちであり、競馬学校卒業時には「今まで母親には苦労をかけてきたので、今後はジョッキーとして恩返しをしたい。それと、弟二人の学費を出してあげたい。」という抱負を語っており、競馬学校も3度目の受験でやっと合格するなど、ここまでの道のりは決して楽なものではなかったことが伺える。

2回目の受験では面接で頭が真っ白になり、一次試験で不合格になってしまうといった苦労話もある。今回も、レース前に調教師から「ハナ行け」という支持が出ており、指示通りハナをきった後に1周半するレースであることが頭から飛んでしまったという。過緊張や極度の不安によって頭の中が真っ白になってしまうという人は「恥の文化」を持つ日本には多いという話を聞いたことがあるが、受験面接時の失敗談や今回の競走距離をレース中に忘れてしまったという山田騎手も、過緊張や不安障害に悩まされている人間の一人なのかもしれない。

筆者の個人的な感覚としては、家族への強い思いや3度も受験してやっと合格した経緯を考えると山田騎手は八百長をするような人間には思えないし、何とか大目に見てあげたいという気持ちがある。しかし、馬券には様々な思いが込められているのも事実であり、今後G1など大きな舞台を目指すならこうした凡ミスはあってはならないことだ。

信頼を取り戻すのは大変だが、失敗を糧にして精進してもらいたい。