【マイルCS2016予想】サトノルパン、クラレント兄弟対決

長い間、牝馬の重賞戦線を賑わせたエリモピクシー。自身は遂に重賞を勝つことが出来なかったが、繁殖入りしてからの成績が凄まじく、初仔のリディルがデイリー2歳S、4歳になってからスワンSと重賞を勝利したかと思えば、4頭連続で重賞勝ち馬を出している名牝となった。

リディルは既に現役を退いているが、現役で3頭の重賞馬クラレント、レッドアリオン、サトノルパンがいるが、今回のマイルチャンピオンシップへクラレント、サトノルパンの2頭が出走してきた。

サトノルパン課題は距離克服

エリモピクシー第4仔にして初めてディープインパクトとの仔となったサトノルパン。

初重賞制覇となった昨年晩秋のスプリント戦である京阪杯では、今年の高松宮記念馬であるビッグアーサーを見事に完封してみせた。しかし、その後はGⅠレベルの壁にぶち当たり、高松宮記念がしんがりの18着、スプリンターズSが7着と、共に掲示板外に沈んでいる。

ただ、スプリンターズSの着差は0.2秒と、高松宮記念とは違って見せ場は十分にあり、少なくとも春からは進歩したと見ることも出来よう。必ずしも、「G1だから格の問題で厳しい」とまでは言えないかもしれない。

そのスプリンターズS直後の、マイルCSの前哨戦スワンSでは、中団からジワジワ伸びるもサトノアラジンに交わされ惜しい2着と状態も上がってきている。

一方で、最大の課題はマイル以上に良績が無いこと。オープンクラス以上では、六甲Sでの2着が最高で、マイル戦での勝利となると、2歳時の未勝利戦まで遡る必要がある。これまで、マイル戦を多く使ってきているわけではないが、気になる点と言える。

マイルに実績の無いスプリンター傾向の強い馬は、マイルのGⅠでは凡走することが大変多く、その点において当馬には、マイルCSはかなり不利な条件といえる。

得意のマイル戦で何とか力を示したいクラレント

2014年の京成杯オータムハンデ以来勝ち星はないが、7歳でもまだまだ元気一杯なのがクラレントだ。実績は主にマイルを中心にGⅢを5勝、GⅡを1勝、GⅠでもNHKマイルCと安田記念で3着が2回ある。紛れもなく一流のオープン馬だ。

ダンスインザダーク産駒で元々は橋口弘次郎調教師が管理していたが、定年により現在は息子の橋口慎介調教師が管理、血統と調教師ともに非常にいろいろと縁の深い馬である。

近走の成績はあまり振るっていない。マイラーズCを11番人気ながら3着好走と気を吐いたが、その後の安田記念、毎日王冠、天皇賞・秋はいずれも着外に終わっている。クラレントに希望を見い出すならマイルであるという点。同舞台のデイリー杯2歳Sを制していながらマイルCSでは好走歴がないが、それでもクラレント向きのコースであることには違いない。できれば内枠を引き当てて無駄のない経済コースを走りたかったところだが、あわやの好走が見られるかもしれない。

さすがに7歳ともなるとこれ以上の成長を期待するのは酷だがさほど衰えている感もなく、息の長い活躍を見せている。鞍上をそれほど選ばない性格の素直さもこの馬の長所であり、得意のマイル戦で何とか好成績を残したいところだ。

エリモピクシー産駒共通の課題とも言えるのが格の克服と言えそうだ。4頭の重賞馬を出す母となるとそう多くはいない。ぱっと思い浮かぶのはダンシングキイやビワハイジ。この2頭とエリモピクシー産駒の違いで言えばGⅠの壁だ。エリモピクシー産駒からは未だGⅠ勝ち馬が出ていない。その壁を崩すのはこの2頭になるかも見ものとなる。